科学コミュニケーションとその内製化

こんな論文を見つけました。日本でこういう研究はされているのだろうか?されているならば、どこまで進んでいるのだろうか?

Novel hop ecotypes revealed genetic variation in Chilean Humulus lupulus L. – Genetic Resources and Crop Evolution Hops (Humulus lupulus L., Cannabaceae) is a dioecious perenni link.springer.com
>チリ南部で最近発見されたホップの生態型は、明確な形態的差異を示し、(中略)独自の遺伝子型が明らかに明らかになりました。

独自の遺伝子を持つ、特異なものであることが分かったとしても、現代ビール醸造に向くかどうかや官能評価的に良いものと判断されるかどうかはまた別の問題であり、遺伝的系譜が解明されたからと言って即ちチリ産ホップが高い評価を受けるということにはならないでしょう。ここは働く力学がそれぞれ全く違うので難しいところです。

さて、日本に引きつけて考えてみよう。

仮に日本でこう言った研究がされていたとして、そこから他のホップとの差分が何であり、それを「効率よく」且つ「特徴を出す」にはどうしたら良いかという議論も必要になるはずです。そして、もっと言えば、ビール醸造に実装されたからと言って消費者にとって良い(具体的に言えば、美味しい、新しい味覚の発見etc)となるかはまた別の問題なので、そちら側のアプローチも同時に検討しないと「売れる商品」にはなりません。

科学的な研究によって生まれた技術が価値となるかは、たとえば科学コミュニケーションによって達成するでしょう。実際のビールそのもので高度な技術を体現しつつ、それがどれほど高度であるのかを言葉など他の手段でも世間一般に伝えなくてはなりません。今、クラフトビールにおいてそういう機能を外国(主にアメリカ)に依存しているような気がするけれども、ここを内製化しないと長い目で見たい時にマズいと思います。

もうすでにそういう科学的事実、知見が蓄積しているならばもっと世に出してもらいたいと願わずにはいられない。