さて、そろそろ「流通と品質」の話をしよう⑧ 陳列と光のこと

先日、さて、そろそろ「流通と品質」の話をしよう⑤ 出荷と倉庫の話と題した投稿をしました。まずはそちらをご覧頂き、今回の投稿をお目通しください。そこで私は中間流通の倉庫に関してこう書きました。

一般的に、ビールは商品回転スピードが早いので、倉庫が何階建てかの建物であっても一階に置かれることが多いです。その方が入荷作業も出荷作業も楽ですから。で、その一階というのはトラックの積み込みや荷おろしの作業場も兼ねているので、温度管理されていないのが普通です。外気そのまま。下手をすると日光が当たったりもしています。これが通常の物流の流れでは一次問屋、二次問屋と2軒は途中に入ります。危険です、実に危険。

一度のミスが取り返しの付かない品質劣化を起こします。流通のどこか一箇所でも手を抜けば品質はガクンと落ちます。クラフトビールが流行しだしたからと言って品質を無視してとにかく珍しいもの、新しいもの、流行りのものを樽で繋いで出せば良いというものでもないでしょう。酒屋さんであれば、とりあえず棚においておけば良いというわけでもありません。ちゃんとした品質でご提供し、飲み手の感動体験の積み重ねが文化形成に大きく寄与すると私は考えています。その為にやらなくてはいけないことがたくさんあります。

第二回目高品質クラフトビールのためのベストプラクティスガイドという参考文献をご紹介しました。アメリカの醸造家組合”Brewers Association”が出しているガイドです。嬉しいことにこちらは日本語版なので是非お目通し下さい。この中の12ページ目冒頭に「光劣化」について記述があります。引用しておきましょう。

ビールの光劣化 – 表1の経年によるプロファイルに対してはっきりとした関係性がなくとも、ボトルビールに対する光によるダメージについて説明する必要があります。伝統的なホップ、またはホップエキストラクトで造られたビールは、イソアルファ酸によって苦みが加えられています。これらの酸は強い光に晒されると「輸入されたビールの風味」ともいわれる、「スカンクのような臭いを発する」硫黄化合物をとなります。悪影響を与える紫外線を防ぐアンバー(茶色)のガラスは比較的安全です。緑ガラスは比較的安全性は低く、透明なガラスの安全性はほぼありません。しかし、どうであれ、すべてのボトルは日光や蛍光灯の光の下に置かれるべきではありません。そうでなければ、程度によりますが、光劣化、または「スカンクの臭いを発する」反応を起こしてしまいます。

ん?最後の部分ですごいことを言っていませんか?

すべてのボトルは日光や蛍光灯の光の下に置かれるべきではありません。そうでなければ、程度によりますが、光劣化、または「スカンクの臭いを発する」反応を起こしてしまいます。

ボトルの色にかかわらず、光に当たること自体が品質劣化の要因となるということです。直射日光の当たる場所に置いておくなど論外ですが、見栄えが良いからと言ってピカピカ光る照明にさらしておくのもビールにとって良いことではありません。お店でビールを陳列しないわけにはいかない場合も多いと思いますが、そうであれば何らかの方法を採る必要があるかもしれません。