ヨーロッパにクラフティはないのか?

昨日、一昨日の投稿はCRAFTY(クラフティ)問題についてでした。それに対して、「クラフティのことを読みましたが、アメリカばっかりですね。ヨーロッパにもあるでしょ?それを挙げないのは変じゃないですか?」というようなお言葉を頂戴しました。端的に言うと、「挙げる挙げないの問題ではない」ということになります。この点についてCRAFT DRINKSの考えをご説明したいと思います。

まず前提として、こういう話こういう話はアメリカのブルワーズアソシエーションがアメリカ国内のクラフトブルワーに向けたものであるということが大事です。一言で言えば、「アメリカの話」なのです。そして、ブルワーズアソシエーションという民間の団体が決めたことであって、法的な根拠や国際法的な縛りは一切ありません。法的な根拠が無いことは以前詳しく書いたので、こちらをご覧ください。

他所の国もそれに従わなくてはいけないなんてことは一切ありません。「アメリカに倣う必要はないのだ。独自の定義があっていいじゃないか。みんなで考えて作ろう!」という試みの一つがBrewdogのものでした。(と書きましたので、ぜひ読んでください。)

ですから、この一覧はアメリカ国内にあるものを中心に作成してあります。イギリスのmeantime(ミーンタイム)などは英語圏のソースでクラフティだという論調が見られるので一応挙げていますが、正直なところ無くても構わない。クラフトビールは”craft beer”なので、やはり英語圏、主にアメリカ発の情報が多くなるのは致し方無いのかもしれません。

CRAFT DRINKSとして一番気がかりなのは「アメリカありきのクラフトビール観」、もしくはそういう無意識の流れです。「どこのレッドエール?」という記事にも書きましたが、アメリカンスタイルがデフォルトだと考えるのはちょっと変だと思うのです。私たちは極東の日本にいて、英語を公用語としているわけではありません。物流も極めてよく、世界中のものが手に入ります。イギリス、ベルギー、ドイツなど選びたい放題です。地理的、言語的にも独立し、いい意味で雑食でいられるのですから、アメリカの風潮をそのまま真に受けなくてもよいと思います。こちらで指摘したように、アメリカの基準を日本に当てはめること自体無理があります。だから、みんなちがってみんないい、のです。

質が高く、美味しいことがビールにとって一番大事なのですから、無理にアメリカの基準をヨーロッパなどの他の国に持ち込んで解釈したところで本筋から外れるだけです。だから、挙げる挙げないの問題ではないのです。CRAFT DRINKSは「英語圏で言われるcraft beerのことも理解し、その情報もご紹介しますが、そこに絶対的な基準を置いてはいない」というスタンスでいます。