
登壇した勉強会のこと、週末のこと
土曜日に東京・両国にある麦酒倶楽部ポパイさんで開催された勉強会で登壇しました。
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テーマは「クラフトビールの説明の変遷と定義」で、これまでに為されてきた「クラフトビールとは何か?」という言説を概観し、日本におけるクラフトビールの輪郭について考えました。
手作り、こだわり、個性、革新性…
ざっくり言えば、お気持ちポエムが多いわけなのですが、それがすなわち悪いわけではないというのが重要です。発祥の国とされるアメリカでも同じように語られている事象は多数あり、本質的には各人の想いがボトムアップのカルチャーを駆動するものだと思うので、それはそれで良いのです。問題は客観性を持たせるべき部分とそうでない部分の切り分け、言い換えれば「統計と情緒」の区別ではなかろうかと私は考える、ということを各種の事例やデータを元にお話しました。
会の最後に余談として、東浩紀「一般意志2.0」、成田悠輔「22世紀の民主主義」をご紹介しました。少数の代表に委託し、熟議を通じて作られた皆に関する事柄、クラフトビールに寄せて考えれば定義やビアスタイル等、が時代の変化の速度に追いついていないのは明らかなので、何か別の仕組みが必要なのではないかと思ったからです。
一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル (講談社文庫 あ 132-1)
22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる (SB新書)
前者の一般意志2.0と後者の無意識民主主義は親和性が高いと思われ、テクノロジーの進化によってどちらも熟議を経ずとも浮び上がるものがあるのではないかと示唆されます。これらにインスパイアされて思うのは、『クラフトビール』なる概念の共通項はこうして社会から抽出され、人はただただ美味しいものを「いやぁ、おいしいなぁ」と楽しむだけで全てが整理される時代が到来するかもしれないということです。それがユートピアなのか、はたまたディストピアなのかは多くの方と議論したいところです。
小難しいことを書きましたが、何にせよ、クラフトビールという液体は存在せず、それが具体的な液体ではなく文化的な現象である以上、避けては通れない論点ではないかと思うわけです。勿論他にも考えたいポイントはたくさんあるので次回以降取り上げて参ります。
まだ次回のスケジュールは決定しておりませんが、確定次第ご案内申し上げます。お時間ございましたらご参加くださいませ。引き続きよろしくお願い致します。
さて、今週末の土曜日は私が主催するクラフトビール文献読書会が開催されます。「日本におけるビール消費の様式(スタイル)に関する文章」と「アメリカのBrewers Associationが発表した “高品質クラフトビールのためのベストプラクティスガイド”」を読んで議論しようと思います。私が勝手に開催している無料の会なのでどなたでも参加して頂けます。noteの詳細をご確認の上、最下部の申し込みフォームからお申し込みください。
また、翌日はオンラインの会です。「ビアスタイルとは何か」について考えてみたいと思います。ビアスタイルは100種類以上あると言われますが、どういう形式があるのか?、それは誰が決めたのか?などを確認し、私たちがビールをどのように認識しているかについて既存の言説、ガイドラインを参照しつつ検討します。そこから個人の主体性や言葉、感性の重要性が浮かび上がって来ると私は考えています。ツイキャスのURLはこちらです。どうぞよろしくお願い致します。