そうしているうちに、ホームに帰ると世界の色が変わっていることに気がつく

買い出しを終え、夕食までの間何か飲もうかと思って冷蔵庫を開けて何にしようかなと考えたのです。今夜はこんなものにしてみました。

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Suntory Blue
サントリーから最近発売された発泡酒です。公式ウェブサイトによると「天然水と長年研究を重ねて見つけ出したエール酵母による、サントリービールならではの香味付与技術です」だそうです。

スピリッツが入っている発泡酒ではありますが、結構良いと思います。分かりやすい特徴があるわけではないけれど、むしろ気になる点が少なくて好感が持てます。「こういうのもいいよなぁ」と感じるであろうシチュエーションが幾つも目に浮かぶのです。プレミアムモルツがアメリカンゴールデンエールやクリームエールにはみ出しつつ、ちょっと弱気になって線が細くなったような。

私は酒屋さんとしてベルギーやアメリカのビールを仕事で扱っていたり、ワンウェイケグのキーケグサンキーS対応のユニケグのディストリビューターとしても活動しています。ドラフトのシードル日本酒を開発してみたり、国内のブルワリーと協力してバレルエイジビールのプロデュースなんかもしています。

そんなことをしているうちにご縁があって世界的にも希少なものを飲ませて頂く機会もあったりします。自分でも海外に行くと現地でしか流通していないものを山程買って帰って楽しんでいます。そんな写真を結構instagramにアップしているからか、普段から物凄いのばかり飲んでいる風に見られているような気がしないでもないのですが、決してそんなことはありません。お酒に関しては本当に雑食で、ジャンル問わず何でも飲みます。レモンサワー、普通に美味しいし。

国産大手のものも新作が出れば一通り飲むようにしています。今求められる味わいがそこに体現されているはずで、それはどういう文脈のどういう意義を持つのだろうかと考えてみたいからです。それは同時にクラフトがどこに向かっているのか、どちらに向かうべきなのかを考える作業でもあります。仕事なのか趣味なのかもはやよく分かりませんが、ぼんやりそんなことを考えるのが楽しくて仕方ない。

クラフトビールが流行してきたのと同時に大手のビールを忌み嫌う人も少なからずいらっしゃるように思いますが、技術力や安定感、再現性などの点から考えるとクラフトブルワリーよりも大手の方が圧倒的に上なんですよね。飲めば飲むほど「うわー、やっぱりすごいわ」と思います。ちなみに、これは確か1本100円で買いました。価格の面でもぶっちぎりのパフォーマンスです。

大手とクラフト、どちらも同じ「ビール」なので、僕はそんなに区別していないのです。せっかく飲むなら美味しくて、心と身体に沁みるものがいいなぁというくらいで。うまく言語化出来ない自分の欲求に自分自身で応えるべく、大手もクラフトも分けずにまずは色々飲んでビールの世界がどれだけ広いのか感じるのが良いと思うんですよね。

飲まず嫌いは勿体ない。地図を広げるためには冒険が必要だ。そうしているうちに、ホームに帰ると世界の色が変わっていることに気がつく。

まぁ、こういう状況なので仕方ないのだけれど、出来たら気のおけない仲間と一緒にあーだこーだ言いながら飲むのが一番なのは間違いない。早くそういう日がまた戻ってくることを願っています。