インベヴ、またまた買収

AB Inbev(アンハイザーブッシュインベヴ)がまた醸造所を買収したと発表がありました。今回はアメリカ・ヴァージニア州にあるDevils Backbone Brewing Company(デビルズバックボーンブルーイングカンパニー)です。

まずはインベヴが近年買収したアメリカ国内の会社を列挙しますので、確認しておきましょう。

  • Goose Island
    Blue Point
    10 Barrel
    Elysian
    Golden Road
    Four Peaks
    Breckenridge
    Virtue Cider(サイダーメーカー)

ここ数年で買収もかなりしていて、インベヴの自前のブランド以外でかなりの範囲をカバー出来るようになったと思います。今回のデビルズバックボーンのフラッグシップビールは「ヴィエナラガー」、ドイツスタイルのラガーです。現在のポートフォリオには無かったフラッグシップビールのスタイルなので、私が買収の話を聞いた時に「なるほどね」と思いました。詳しい内容についてはインベヴからプレスリリースが出ていますので、こちらでご確認ください。

大手のスタンダードなライトラガーは減少の一途を辿っています。かと言って、新たなブランドを作ろうにも、要件が合わず消費者には「クラフトビール」とは認識してもらえません。無いなら買ってパイを取りに行くということなのかも・・・Constellation Brands、Ballast Pointを買収などの話もありましたし、クラフトビールの世界が大きく様変わりしてきたのかもしれません。クラフトビールがちょっとだけ高い価格帯のコモディティとなりつつあり、今までのビール産業同様に、シェアやボリューム訴求の方法論が展開されている気がします。

デビルズバックボーンの公式facebookアカウントに先程コメントが出ていました。冒頭はこう書いてあって、「今後拡大していくにあたって、AB Inbevと夢を共有し、一緒にやっていこうと決めました」というような感じでしょうか。

Devils Backbone was built with a unique, adventurous spirit, and our job is to preserve that culture. That being said, our vision has now outgrown our means. We still know where we want to go, but we realized we needed a partner to get there. For the past year we’ve been exploring options for a long-term solution that would enable us to continue expanding our business of brewing consistent, high-quality craft beer. As I evaluated our options, ABI’s The High End rose to the forefront as a support team that believed in our dreams. We had many discussions and the more we spoke with ABI, the clearer it became that The High End shares our passion. All of our senior management are on board with this new direction and in it for the long haul. ABI will support our brand as we build out our dream of what Devils Backbone can become.

買収劇の際はだいたい同じようなことを皆さん言いますが、まぁ、正直なところ、これ以外に言い様がないとも思います。拡大路線を突き進むと販路、投資回収などは必ず直面する問題です。合理的に考えてインベヴの持つ力を利用することが最短で最善かもしれません。最早個人の感情など挟む込む余地のない次元なのでしょうが、それがクラフトなのかどうか。クラフトという言葉の限界が迫っているのかもしれないと感じる今日この頃です。

※要ブックマーク※代表的なクラフティビール一覧にも追記しておきましたので、御覧ください。