BAの定義から考える”craft beer” 「大きさと小ささ」

以前の投稿で「BA(ブルワーズアソシエーション)の定義には大きく3つの要件があること」をご紹介しました。今回からそれぞれについて考えていきたいと思います。
まずは一つ目の”small”に関してです。

Small

Annual production of 6 million barrels of beer or less (approximately 3 percent of U.S. annual sales). Beer production is attributed to the rules of alternating proprietorships.

出典:brewers association “craft brewer defined”

 

年間生産量が600万バレルが基準となっています。”バレル”という馴染みのない単位が使われていますのでリットルに直してみると、「年間生産量約7億リットル以下であること」となります。うーん、全然ピンと来ない数字です。そこで、日本の状況と比較してみたいと思います。

1990年代半ばまで、ビール免許の要件は年間生産量が2000kl(200万リットル)でした。いわゆる「大手」以外に2000klという数字は現実的ではなく、実質上参入不可能な状態が続いていましたが、規制緩和の流れでそれが遂に変わりました。ビール醸造に関する法律が緩和され免許が取得し易くなり、2000klから60kl(6万リットル)に引き下げられたのです。その結果、全国各地に醸造所が生まれ、「地ビールブーム」が起こります。

現在「非大手」で最大の生産量の会社は「よなよなエール」で有名なヤッホーブルーイングで、2014年9月にキリンビールとの提携を発表した際に年間生産量が3000klを唯一超える会社だと表明しています。2014年の段階では日本最大級の生産をしている会社の大きさは3000kl、つまり300万リットルほどと解釈して概ね間違いではないでしょう。コンビニ、スーパー、飲食店であんなによく見るヤッホーブルーイングのビールが300万リットルなのです。かたやアメリカは7億リットルまで設定しています。文字通り、桁違いです。

アメリカと日本とでは物凄い開きがあるのです。