伸びているのは何か?②

昨日、伸びているのは何か?①と題して投稿をしました。アメリカを例に昨年までの流れを確認し、状況を見ていきたいと思います。

今回の連載は大きな部分からだんだんと小さな部分へと移っていきたいと考えています。まず初めに、「大手ビール会社 VS クラフトビール」という視点から考えていきましょう。

BA発表のNATIONAL BEER SALES & PRODUCTION DATAでは分かりやすいインフォグラフィックを掲載しているので是非見て下さい。今回のトピックにおいて大事な数字としては以下。(前年対比で示してあります)

・販売額ベースで見ると、ビール全体は0.2%ダウン
・販売額ベースで見ると、大手以外のビールは軒並み伸長。(クラフトカテゴリーは12.8%アップ)
・生産ベースで見ると、ビール全体は0.2%ダウン
・生産ベースで見ると、クラフトビールは13%アップ

ボリュームの差はまだまだ大きいのですが、大手のビールはここ何年も販売額、生産量ともに減少傾向です。大手ビール会社から見れば「ビッグビールマーケットの縮小」は死活問題で、これをどう打開していくかが鍵になります。近年活発にクラフトビールブランドの買収を行なっているのもその一環でしょう。(参考:CRAFTY(クラフティ)問題をおさらいしておこう)インべヴがミラーを買収する話もビッグビールのシェアを保持する為の方策と考えられます。
また、大手ビール会社は国際企業なのでグループ全体の利益を考えてもいます。外国ブランドのビールを輸入するなどしてポートフォリオを組んでいるのです。たとえば、インベヴはメキシコのグルポモデロ社を買収していて、コロナはインベヴの取り扱いです。

さて、こんな状況の中でクラフトビールはものすごい伸びを見せており、目を見張るものがあります。上記リンク先でも示している通り、アメリカのクラフトビールの生産量はここ4年で2倍を超えました。ビールというカテゴリーの中においては飛び抜けて勢いがあるのは「国内産クラフトビール」であることは間違いなさそうです。BAは「2020年にクラフトビールがシェア20%獲得」を目標にしていますが、かなり現実味を帯びてきたと思います。

蛇足ですが、大手ビール会社は総合飲料メーカーでもあるので、ハードリカーやRTDなど他のカテゴリーのものにも注目しています。サントリーがジムビームを買収しましたが、ニッチなマーケットでは近年クラフトスピリッツ、クラフトバーボン、ムーンシャインなどが注目されているのも興味深いです。たとえば大人向けルートビアも隣接領域であり、その流れにあるのではないかと私は考えています。