“craft beer”と”クラフトビール” 自家醸造合法の国とそうでない国

世界的に活躍するクラフトブルワーの多くは元ホームブルワーです。ホームブルー(home brew)とは日本語で「自家醸造」のことで、趣味で自家消費用にお酒を醸造することです。以前の投稿でご紹介した通り、日本でアルコール度数1%以上のものを醸造することは違法ですが、アメリカやベルギーは自家醸造が合法です。

「home brew equipment」とインターネットで検索すれば物凄い数のホームブルー機材を扱うショップが出てきます。こういうところで原料のモルト、酵母、ホップなどを買い、発酵容器や煮沸に使うお鍋を揃えたりしているのです。そして自宅で自分の好きなようにレシピを組み、ビール作りを楽しんでいます。

ホームブルーは趣味の範囲のものですが、クラフトブルワーになる前の一種の通過点でもあるわけで、その意味で「商業醸造前の練習」とも考えられます。

一つ例をご紹介しましょう。
ベルギーの醸造機材ショップ”brouwland”ではプロ向けだけでなく、ホームブルワー達の自家醸造ビール品評会を開催しています。実際にここからプロになった方もいると聞いたことがあります。また、自家醸造の体験コースもあり、プロに教わりながらやり方を勉強することができます。決してプロ養成というわけではなく、趣味の一環として教わるものです。

先ほど申し上げた通り、日本では自家醸造は違法なのでこういうことは出来ません。(アルコールを発生させる前、つまり発酵の前までの作業は出来ますが。)だから、日本では醸造所に行って設備を見学したりすることが中心になります。自家醸造が合法であればこういうレクチャーを受けることも可能となり、その場で原料や機材に触れ、実際にビールを作ることが出来ます。それが一人の消費者としてビールにより親しむことにも繋がるでしょう。自分の好みを知るきっかけにもなるでしょうし、何が原因で失敗ビールになるかも分かります。

質の良いもの、悪いものを判断するにはこういったことが地味に大事ではないでしょうか。こういう環境から何人ものクラフトブルワーが生まれています。そして、彼らは個性の光る、極めて優秀なビールを日々生み出しているのです。