【2回目】東洋経済オンラインに寄稿し、本日掲載されました
掲題の通りなのですが、ご報告申し上げます。
11月に日本の「クラフトビール」実態がわからない事情と題して東洋経済オンラインに寄稿致しました。有り難いことに再度オファーを頂き、本日2回目の記事が公開されました。お力添え頂いた関係各所の皆様に心よりお礼申し上げます。
今回は小売店でのクラフトビールの取り扱いについてです。字数の関係で書ききれていないこともあるのですが、お目通し頂ければ幸いです。
ブームでも「クラフトビール」を店が売らない訳 やむにやまれない事情が小売り側にもある
詳しくは本文をご覧頂きたいのですが、今は過渡期であり、広く一般の小売店にクラフトビールを扱って頂くのはまだまだ難しいと思われます。ビールには多くの種類、味わいがありますが、それらを世間に対して周知するまでには至っていないということなのでしょう。シーンの片隅で活動させて頂いている私の力不足もその原因であり、深く反省しなくてはなりません。業界関係者はこの点について一致団結し解決していきたいです。
ここ数年クラフトビールは各種メディアで取り上げられることも多く、もしかしたら一度手に取って飲んで頂いたのかもしれません。しかし、「値段も高くて味もイマイチだし、なんだかねぇ・・・」と思われてしまった可能性もあります。「クラフトビールの取り扱い方法は牛乳や鮮魚のそれに近い」と書きましたが、感動して頂けなかったのは飲み手に対して劣化した美味しくないものを提供していた為かもしれません。酒販店だけでなくパブでも同様で、ビールの流通において劣化要因は多数あり、どこか一箇所でも手を抜くと絶対に取り戻すことが出来ません。飲んで感動できなければポジティブな印象は残りませんし、次回以降主体的に選ぼうとはしないでしょう。美味しさを担保した上で多様性とそこに付随する面白さや独自の表現という領域を提示したいものです。
クラフトビールの文脈ではよく「コミュニティ」と言われますが、シーンへの参加者と言い換えると小売店が地元の窓口になって普及のために大きな役割を果たすことが期待されます。小売店の棚はブランドとの重要なタッチポイントだからです。製造小売の形態で販売していくのは規模の面でも今は致し方ないのですが、今後パブだけでなく、問屋・小売店も大きく巻き込んでシーンの拡大、向上を図る必要があると考えます。でないと、個別企業の個別最適が進むだけでシーン全体の伸長は望めません。全体最適にはならないのです。故に、小売店が自ら進んで取り扱いたいと思うような「クラフトビール像の提示」、「クラフトビールの価値」をもっと伝える作業に尽力していきたいと思うに至ります。
シーンの底上げは非常に重要ですが、「では、底とはどこを指していて、どういう方法でどこまで上げていくか?」という現実的かつ具体的な議論を広く行うべきではなかろうかと思います。その視点で重要なのは言論であろうとCRAFT DRINKSは考えます。月末に出す新刊「文脈とビール」のあとがきでこう記したことを先日ご報告致しました。
個人や有志のグループが発信しているものの方がリアルであり、即時性や意見、主張があってすでにその価値は高い。テクノロジーの進化、普及により21世紀は個人の時代となり、1億総発信者となった。そのため、既存メディアに担がれた有識者とされる人の他に、一般人によるリアルな発信が注目を集めるようになってきていることは疑うべくもない。ジャーナリズムに絡めて言うと、飲むという行為のインプットを飲み手が行い、同じ人間が感想や解釈を発信するというアウトプットも行っているわけで、そこに専門性と批評精神があれば理想的な形になるような気がしてならないのだ。各種「書いて発表するという行為」のハードルが異常に下がった今、ビアジャーナリズムは専門性と批評的精神の2点のみで判断されるのかもしれないけれども、1994年に始まったばかりの日本のビールシーンなのだからまずは感想や思いつきを気軽に出せば良いと思う。
全体を良くするための行動、活動についてはブルワリー、酒販店、パブという提供側だけの話ではなく、飲み手も巻き込んだ大きなシーン、ないしはコミュニティで為されるべきであり、その一つとして「飲んで書いて発表する」行為が必要だと考えます。美味しいビールを醸し、運び、提供するだけでなく、飲み手が他人事ではなくて自分事にしていくにはどうしたら良いか?という話がしたいと思う今日この頃なのでした。
気がつけばあと4日でC97、いわゆる冬コミです。既刊「クラフトビールの今とこれからを真面目に考える本」も再販し、新たに「文脈とビール」を発表します。文才もなく不器用なので駄文書き散らかしておりますが、お目通し頂ければ幸いです。3日目の12月30日、南ネ-11bにてお待ちしております。