【プロ向け】キーケグ充填大解説 〜発泡性ありの場合〜
キーケグにおける実験は着々と進行しております。今回、発泡性のある液体をキーケグに詰めてみましたが、大成功!その模様を詳しくご紹介致します。
先日、シードルオンタッププロジェクトのシードルをキーケグに詰めました。その時の模様は【プロ向け】キーケグ充填大解説にてまとめてあります。詳しい解説もつけてありますので是非お目通しください。
さて、詰めたシードルはオープンファーメンターで一次発酵を終え、ガスのないフラットな状態でした。充填する際、平衡させる為のキーケグ内部の圧力は全然無くて良いことになります。ですから、この時ガス側のボールバルブは大きく開いてガスをどんどん抜きました。内部の圧力が下がって徐々に充填スピードが上がり、およそ1分半〜2分ほどで20L1本詰めることができました。
さて、今回は発泡性ありの液体、つまりはビールをガスが溶け込んだ状態のまま詰めてみるという試みです。ご協力頂いたのは千葉県佐倉にあるロコビア様です。タンクで充填を待っていた「佐倉香りの生」というケルシュを今回詰めて頂きました。
まずは充填の準備です。写真を撮り忘れてしまったのですが、充填ヘッドやバルブなど、ビールが触れる全てのものは熱で滅菌しました。充填ヘッドに接続するホースは前回同様内径12mmのものを使用し、クランプでしっかり留めました。
ヘッド部分についているキャップを取り外します。
キャップをはずしたら、ヘッド部分を消毒。
次に、8秒間のガス抜き。カプラーも消毒します。
キーケグを逆さまにセットします。今回は一升瓶が6本入るP箱を台として利用しました。写真では1段ですが少々低いので、2段にした方がやりやすいです。これから続く作業フローを確認します。
タンク、粗いフィルターを通して充填用カプラーの先端までビールを引き上げます。ここで空気が交じるとケグに充填してしまうことになるので注意が必要です。
バルブが閉じてあることを確認し、充填用カプラーも消毒して接続。
さて、ここが一番のポイントです。今回詰めて頂いた「佐倉香りの生」は温度1℃、圧力1.1barをかけてタンクの中で平衡状態になっていて、ビールをタンクからそのまま出して頂きました。この状態を崩さないように充填しないと泡立ってしまいますので、メーターの動きに注意しながらバルブを開けます。youtubeにアップロードしてある公式動画では「圧力ゲージ位置が常にビールタンクの送り出し圧力よりも高くなるように」と説明があります。そのように充填すれば良いので、1.2ないし1.3あたりをターゲットに加減しながら詰めています。
こちらは充填終了間際の映像です。終わりかけになると、メーターがぐんぐん落ちて来て最終的にゼロになります。こうなれば充填完了です。ぴったり液体が入るので、中の袋はちきれんばかりに膨らみ、外装にぴったりとくっつくのでその時メキメキっと音がします。
バルブを閉じて、充填用カプラーを外します。1℃の液体が満タンになっているので、外装に霜がついていますね。
ヘッド部分を水で流し、消毒してキャップをはめたら完成です!!
今回も全く問題なく充填することができ、ホッとしました。但し、充填に要した時間が1本あたり10分ほど。前回のシードルに比べるとずいぶん長いです。これはタンクから一度粗いフィルターを通していて、ホースの合計の長さが10mを超えた為だと推測されます。ホースの長さをもっと短くすれば抵抗が少なくなり、充填スピードは上がるはずです。この点だけ調整が必要と分かったことも大きな収穫でした。ご協力頂いたロコビア様に心から感謝申し上げます。(※次回以降は20L1本2分以内で充填できるようになりました。)
さて、詰めたビールがどうなったかというと・・・東京・白金にあるI/R SECOND HOUSEに届いています。近日中に1本開栓するとのことなので、是非召し上がってください。タンクに詰めたそのままの味わいをダイレクトに感じて頂けるはずです。