ビール醸造で学位、そしてその意味
こんな記事を見つけました。非常に短い文章ですが、内容みは色々と考えさせられるなぁ・・・と。
Illinois college adds degree in beer brewing
ひとことで言うと、イリノイ州の大学で発酵学の学位が認定されましたということ。これは特にビール、ワイン、蒸留酒の未来の作り手を担う人向けのものです。
少し引用しておきます。
Matt McCarroll, director of the Fermentation Science Institute at the university, said rapid growth in craft brewing has led to demand for trained fermentation scientists and coursework focused on brewing science. While fewer than 100 breweries existed in the U.S. in the mid-1970s, there are more than 4,000 today, he told the newspaper.
Graduates will be able to work at several micro-breweries in the region and along the area’s Shawnee Wine Trail.
ざっくり訳すと、「クラフトビール産業が急速に発展し、醸造学にフォーカスしたコースを求める声が強くなりました。卒業生はマイクロブルワリーで働くことも出来ます」という内容です。40年ほどで、醸造所は100軒ほどから4000を超えるほどになったのですから、当然の成り行きですね。
ABGの出稽古プログラムという投稿でも示しましたが、急速に拡大する業界においては必然的に人材が足りなくなります。持続的発展を求めるならば、販売を強化すると同時に人材育成・人材確保も行わねばなりません。それに対して関連団体や隣接する学術業界が積極的であるというのは非常に良いことだと思います。ブームで人員不足だからといってド素人でもどんどん雇用すればいいというものでもありませんからね。品質が落ちたら元も子もありません。能力のある人材が増ええこその拡大です。
お酒は飲み物ですから、食品同様「体に害のないもの」で無くてはなりません。商業免許を持って作るのであれば害がなく、安心安全で美味しく飲めないと。その為にはプロデビュー前にしっかり勉強し、素振りしておく必要があるでしょう。自炊もしたことないのに、レストランを開業する人はいない。当然のことなのです。
欧州にも醸造に強い大学が結構あって、ベルギーのルーヴァン大学やスコットランドのヘリオットワット大学など、専門のコースを用意しています。こういう機関が世界的な盛り上がりを見せるクラフトビールシーンを少なからずバックアップしているのだと私は考えています。欧州、北米のビールに美味しいものが多いのはこういう理由もあるのかもしれません。
クラフトビールシーンの持続的発展に寄与する人材育成の話、日本でもしてみませんか?