イギリス・リトルポモーナのドラフトサイダー第二弾リリースのお知らせ

イギリスよりリトルポモーナのドラフトサイダーが日本初上陸!と第して7月にキーケグ詰めのドラフトサイダーのことをご案内致しました。(彼らのサイダーの作り方もご紹介していますので上記リンクを是非ご覧ください。)

さて、リトルポモーナからドラフトサイダー第二弾がこの度リリースとなります。前回のサイダーキンに続いて、今回は「テーブルサイダー」です。作り手の言葉を借りると、そのコンセプトは質のいいサイダーで食卓を囲み、食べ物との相性も良く、食事の間の潤滑油の役割になる食事のお供的存在を目指して造られたりんごの醸造酒、ということになります。単体で存在するのでなく、食事ありきであり、その食中に召し上がって頂くことで完成するという感じでしょうか。

そう言えばビールにも「テーブルビール」がありますね。ベルギーだと tafelbier(ターフェルビア)、フランスだとbière de table(ビエールドターブル)などと表現されますが、かつて人気を博した低アルコールのビールです。アメリカ最大のビール品評会であるGreat American Beer Festival(略してGABF)のスタイルガイドラインにもBelgian-Style Table Beerという名称で掲載されていますね。

テーブルビールについてはAllagash Brewingの説明が分かりやすいと思いますので見てみましょう。

Back in the height of their popularity around the turn of the 20th century, table beers were viewed as the perfect mealtime sipper; they were low enough in alcohol that you could have a couple, yet still flavorful enough to accompany a robust dish.
20世紀初頭に人気を博したテーブルビールは食事の際に飲むのに最適なビールと考えられていました。アルコール度数が低いので2~3杯は飲めますし、しっかりとした料理に負けないだけの十分な味わいがあります。

続いて、こうもあります。

There are a couple particular features that make up the table beer style. The most striking would be the style’s low (low) alcohol content: 1.5 – 3.0% ABV. They’re also generally malt forward—hops are mostly a background player. Traditional table beers are also surprisingly varied in color, ranging from light blonde to midnight black.
テーブルビールのスタイルにはいくつかの特徴があります。最も目を引くのはこのスタイルの低いアルコール度数でしょう。アルコール度数は1.5〜3.0%。また、一般的にモルトフォワードで、ホップはほとんど使われません。また、伝統的なテーブルビールはライトブロンドからミッドナイトブラックまでと色も驚くほど多様です。

度数が低くてモルトが強く、色は問わない。となると、私たちはこれをどう捉えて良いのだろうか。今いる場所とここまでの距離を考えたという文章で識者の意見も引きつつ書いたのですが、セゾンはスタイルではなくて機能なのだと思うのです。これと同様に、もしかしたらテーブルビールもまた機能なのかもしれない。テーブルビールとはその土地の食事との関係性の中で成立したものであって、テーブルビールそのものに形式は無いのでしょう。機能に名前がついたのであり、それを規定する文化的な背景と強く繋がっている気がしてなりません。一旦スタイル云々は忘れておくのが良いのです。

一生懸命様々なお酒を飲んできて思うことがあります。食事ありきで考えた時、ビールよりもサイダーの方がしっくり来ることが多い。これはりんごという原料由来の酸味や渋みが心地良いからであり、その酸味、渋みが食べ物、料理と合わさった時に相乗効果が生まれるからだと思います。ランビックなど一部の特殊なビールを除いてこういう合わせ方はビールは難しい。やっぱり酸ってすごいのですよ、ガストロノミー的には。ワイン同様果実酒だけれど度数はビール並もしくはそれ以下で、酸味と渋みがあって奥行きのあるお酒という意味でサイダーは今一度食中酒として見直すべきなのではないかと思うに至ります。

リトルポモーナのテーブルサイダーはかつてのものをそのままリバイバルしたのではなく、21世紀的に解釈して作り上げたものです。りんごはブラウンズ・アップル、ダビネット、ヤーリントン・ミル、ミッチェリンを使用し、タンクで発酵後、樽熟成したエリス・ビターとアシュトン・ビターを加えて二次発酵を行います。キャラクターの異なるそれぞれリンゴの特徴が所々に顔を見せ、複雑なフレーバーを生み出しています。フレッシュさもありつつ、非常にタンニンが柔らかくまろやか。モダンなテーブルサイダーとして解釈して7%に仕上げ、ボリューム感も満載の辛口サイダーとなっています。ケグ内でしっかり二次発酵もされていてドライなフィニッシュをお楽しみ頂けます。このお酒を通じて日本ではない国の「飲んで食べて楽しい感覚」についてちょっと考えてみるのも良いのではないでしょうか。ちなみに、輸入元であるワインスタイルズの田中さんおすすめは日本の洋食だとケチャップをかけたロールキャベツ、イギリス料理でならビーフウェリントンとのこと。是非合わせてみてください。

こちらのドラフトシードルにご興味のある飲食店の方は会員登録の上CRAFT DRINKS SHOPにて詳細をご確認くださいませ。