大船渡から生まれるシードルのこと

先日のことです。岩手県に行って参りました。

目的地はこちら。ワイン・シードルを醸造しているスリーピークスさんです。かわいらしいデザインの建屋で、入り口を入るとすぐにコルナゴのロードバイクが。白を基調としたおしゃれなショップスペース。

 

スリーピークスさんでは岩手のりんごを使ってシードルを作っていて、この度キーケグ詰めの商品を開発したいとのご連絡を頂いたのがきっかけで醸造所に伺ったのでした。一回350Lほどの仕込みで、基本的にはオーナー醸造家の及川さんがお一人で作業されています。醸造所内の機材も見せて頂きました。

ボトルフィラー

リンサーと打栓器

フィルターはありませんが、ろ過装置

発酵タンク(ステンレス製とプラスティック製。スティルなので耐圧でなくても大丈夫。)

除梗破砕機

りんごを絞る搾汁器

さて、本題のキーケグへの充填です。充填の方法自体は以前長野県の信州まし野ワインさんで行った時の解説記事がありますので、概要はそちらをご覧ください。

【プロ向け】キーケグ充填大解説

作業としては、一次発酵を終え清澄したシードルに糖と酵母を新たに加えて撹拌し、それをキーケグに詰めます。奥の開放タンクから小さなものに移して糖・酵母を入れて撹拌。ポンプを繋いで、キーケグ充填の準備が整いました。

ポンプのパワーとのバランスの取り方が難しかったですが、特に大きなトラブルも起きることなくキーケグの試験充填を終えました。ほとんど充填の誤差もなく、私としても上手に出来たと思います。数カ月後、二次発酵を終えた大船渡のシードルが世に出ることでしょう。楽しみです。今回作ったのはごく少量ですが、気になる方はスリーピークスさんにお問い合わせください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

作業を終え、バスの時間まで大船渡をぷらぷら歩いていみました。乗り込んだバスの車窓からも必ず工事のトラックが映り込んできます。

 

大きな災害からもう8年が経ちました。「もう」なのか「まだ」なのか、私にはよく分からない。でも、ここ岩手県にはりんごがあって、シードルを作っている人がいる。そして、今までに無かったケグ詰めの二次発酵シードルがもうすぐ生まれようとしています。何だかとても強い何かを感じるのだ。

帰りがけ、ワイナリーをバックに及川さんのことを撮った。我ながら最高に良い写真だと思う。