すごいぞ!Full Sail Brewing Company①併設パブ編

予期せぬトラブルはあったもののなんとかフルセイルに到着したことを先日書きました。今回から数回に分けてFull Sail Brewing Company(フルセイルブルーイングカンパニー)のことを詳しくご紹介して参ります。今回は併設されているブルーパブについて。

フルセイルに一貫しているのは「品質と効率の両立」。誰かが無理していないと続かないものはダメなのです。だから、持続可能性にこだわります。良いものをメインテナンスして長く使い続け、省エネに努め、効率を上げて無駄なことはしない。たとえばパブで提供されるフードもモルト粕を与えて育てた地元の牧場の牛だったり、できるだけ地元産のものを使用してカーボンフットプリント(炭酸ガス排出量)の削減も意識しています。(Full Sail Brewing Company(フルセイルブルーイングカンパニー)、日本初上陸!という文章で詳しくご紹介しておりますので、是非お目通しくださいませ。)まぁ、こういうことはそこそこ大きな会社であればどこでも言うことです。でも、フルセイルは突き詰め方とその意識の共有が半端じゃないのです。

ふとした時にマークさんはこう言いました。

醸造、パブ、事務方など合わせて100名ほどだけれど、全員ファミリーなんだ

全米29位の恐ろしく大きなビール会社ですが、敏腕副社長は全スタッフの名前も顔も分かっています。そして、スタッフ側も全員そう。醸造所やオフィスで誰かとすれ違う度に「日本からお客さんが来たよ」と私を紹介してくれました。とにかく仲が良い。そして、皆さん表現は異なりますが「品質と効率」のことを口にします。効率的にしっかり働きながら持続可能な事業をしていこうという意識が全員に共有されていて、それがそこかしこに見えるのです。大企業の建前で「効率と品質の両立」などといているわけではなく、本気で全員がそう思って高い意識で働いている。だから、週休3日制を実現出来るのでしょうね。夕方、終業の時間になると誰一人残ること無く仕事をきっちり終えて帰ります。がらんどうになったオフィスがとても印象的でした。

繰り返しになりますが、フルセイルに一貫しているのは「品質と効率の両立」。このキーワードが今後たくさん出てきますので、頭の片隅に置いておいてください。

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さて、トラブルはあったものの何とかフルセイルに到着しました。副社長のマークさんのフルアテンドで醸造所を隅から隅までご案内頂きましたが、まずは併設のパブについてご紹介しましょう。

おさらいですが、Hood River(フッドリバー)の中心地の北側にフルセイルはあります。ポートランドからは車で1時間半くらいの場所です。大都会とは言い難いけれど、穏やかで自然豊かな地方の町です。

開業当初は一部分だけだったそうですが、現在は拡張していて1ブロックほぼフルセイルの醸造所です。向かって右がオフィス、真ん中が醸造所、左がパブになっています。下の写真はパブの入り口です。

Greyhound was all canceled but finally here. Full sail brewing company!! #fullsail #hoodriver #oregon

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まずはパブに。火事で煙ってはいましたが、気持ちのよいテラスにてランチ。ちなみに、全てのメニューに醸造家とシェフが相談して決めたオススメのペアリングビールが併記されています。ハンバーガーを食べたのですが、モルティで焦げたニュアンスもあるアンバーが鉄板の組み合わせ!

At a terrace in full sail brewing #fullsail #craftbeer #terrace

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店内は木調の落ち着いた雰囲気。スポーツ中継を流していて、夕方からは地元の方たちで毎日大賑わいなのだそう。

Pub counter at full sail brewing #craftbeer #fullsail #pub

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フルセイルらしく、サンプラーセットのトレイは針金を船のマストの形に。オシャレです。

Yacht-shaped sampler set. Very cool!! #fullsail #sampler #yacht

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ドラフトで提供されているものは全て試しましたが、お世辞抜きで全部美味しかったです。個人的には North West style Hop Pursuit IPAが特にビビッときました。複雑に組み合わせたホップのアロマがきれいで心地よく、苦いのに渋くない。重すぎずたくさん飲める点も素晴らしい。知っていたけれど、改めて衝撃を受けました。そして、セッションシリーズがとにもかくにも優秀。コンセプトもそうですし、味わいも。この話題は長くなるので別途ご紹介します。

また改めてご紹介しますが、パブの下は冷蔵倉庫になっています。出荷待ちのケグやストック分のホップを保管しておくのです。写真のものはなんとハーフバレル(約60L)!!

Keg wall!! In the fridge of full sail brewing #craftbeer #fullsail #fridge #keg

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その一角にパブで提供するケグがたくさん並んでいて、そこから直接パブのタップに繋がっています。スーパーロングドロー!(写真がブレてしまって申し訳ありません、テンション上がりすぎていたようです・・・)無くなったケグをちょこちょこ取り替えに行くのが大変なので、ケグとケグを並列に接続していました。分かりやすく言うと、1個目のケグのビールホースを二個目のケグのガス注入口に接続します。なるほどなるほど、合理的。ちなみに庫内温度は8℃以下。BAも推奨する温度ですね。

Super long draw system of draft beer! #fullsail #fridge #craftbeer #draftbeeer #longdraw

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言うまでもなくビールは美味しいし、スタッフの皆さんもとても感じが良くてとても居心地の良い空間です。各人やるべきことが明確で、担っている仕事を高いレベルでこなしていく姿勢が一貫しています。パブでのホスピタリティもそう。街の人に永く愛されるというのはこういうことなのかなぁ、としみじみ思いました。これぞネイバーフッド。すごいことをしているのに全くスノッブでもなく、自然体でとても素敵です。全てにおいて当たり前のレベルが高いということは文句なく素晴らしい。