外飲みで不味かったら瓶や缶は買わない
突然ですが、ビールの家飲みと外飲み(つまり、飲食店での消費)はどれくらいの割合だと思いますか?だいたい「7:3〜8:2」と言われていて、この数字は概ね正しいと思います。平成27年度版ですが、国税庁発表の地ビール等製造業の概況というデータでも業務用大樽(=ケグ)の比率がビール31〜35.7%、発泡酒24.9〜28%となっています。30%は小さくない数字ですが、売上や規模よりも重要な意味合いがあります。
調査・分析を元に、BAではこういう記事を発表しています。是非一度お目通しください。
ON-PREMISE BEER DATA AND CRAFT
その中でオフプレミス、オンプレミスの分析をしていて、今回はオンプレミスに注目してみたいと思います。(オンプレミス・オフプレミスについては以前書きましたので、お酒の免許 「オフプレミス」と「オンプレミス」を御覧ください。)後半にあるクラフトビールにおけるオンプレミス消費の重要性を説明している部分を引用します。
Importance of On-Premise for Craft
The importance of the on-premise for craft brewers doesn’t stop there. There is also evidence that the old maxim, “brands are built in the on-premise,” has been true in the aggregate for craft. The data suggest that states where on-premise is more important to the beer market, craft does better in the off-premise. The logic is fairly simply: in places where more beer lovers are in bars and restaurants drinking beer and thus encountering craft, off-premise locations have better sales for craft brewers as well.
クラフトにおけるオンプレミスの重要性
クラフトブルワーにとってのオンプレミスの重要性はここに留まりません。古くから言われているように、「ブランドはオンプレミスで作られる」というのはクラフトの統計調査においても正しいという証拠があります。データが示すように、オンプレミスがビールマーケットで重要な州はオフプレミスにおいてもクラフトが好調です。このロジックは非常に明快です。バーやレストランにビールを飲む人がたくさん集まればクラフトに出会うわけで、オフプレミスの販売所も売上が上がる。
何となく聞いたことがあるのではなく、お店で飲んだことがあったり飲んで美味しかった記憶があるということは当然店頭の購買にも繋がることですからね。自分の経験からしてもそう思います。
先程挙げた国税庁のデータをもう一度見てみましょう。ケグ以外の瓶・缶が7割を占めます。BAの分析が日本においても正しいとするならば、瓶や缶を店頭で手に取ってもらうにはオンプレミスでの「あぁ、この前飲んだあれは美味しかったなぁ」という体験があることによってブーストされます。7割のオフプレミス部分を伸ばすためには3割のオンプレミスで存在感が無くてはならないということなのです。ものすごく簡単にまとめると、「外飲みで美味しいという感動体験が無かったら、スーパーやコンビニで瓶や缶も売れていかないよ」というお話なのでした。
そこで考えてみたいことがあります。飲食店はクラフトブルワリーが醸したクラフトビールを美味しく提供できているのだろうか?ある意味でクラフトブルワリーの代弁者でもあるわけですから、飲食店の責任は決して軽くないと思います。であれば、クラフトブルワリーは飲食店における提供品質についてコミットすべきですし、飲食店は自身が提供するビールの品質について当然こだわるべきです。これから専門店でないお店にもどんどんクラフトビールが広まっていきますから、オフプレミスの為にもオンプレミスにおけるクオリティコントロールは急務かと思います。
次回以降、Brewers Association(ブルワーズアソシエーション、以下BA)が発表している記事を元に美味しくドラフトビールを提供するためのコツをご紹介して参りたいと思います。
続く