World Beer Cup 2016、日本のビールが多数入賞

二年に一度開催される、大きなビール品評会の”World Beer Cup”が開催され、昨日その表彰式がアメリカのフィラデルフィアで行われました。エントリーは世界55カ国から、エントリー総数6596 個。ブルワリーは1907 箇所。日本からは135のビールがエントリーされ、8カテゴリーで9つものビールが賞を取っています。日本のビールファンの一人として、非常に嬉しいです。受賞した醸造所は以下。

  • Category: 9 Herb and Spice Beer – 129 Entries Gold: 桜満開ラガー・シャトーカミヤ牛久ブルワリー
    Category: 15 Session Beer – 34 Entries Bronze: Golden Dragon・伊勢角屋麦酒
    Category: 18 Experimental Beer – 86 Entries Gold: 有馬麦酒 Japan Ale・小西酒造、Bronze: いわて蔵ビール オイスタースタウト・世嬉の一酒造
    Category: 29 Aged Beer – 40 Entries Gold: ナインテイルドフォックス,・那須高原ビール
    Category: 32 Light Lager – 45 Entries Silver: アサヒ・ザ・ドリーム,・アサヒビール
    Category: 79 Brithish-Style Imperial Stout – 53 Entries Gold: Arch Devil Imperial Stout,・デビルクラフト
    Category: 83 Classic Irish-Style Dry Stout – 42 Entries Gold: スタウト,・箕面ビール
    Category: 87 American-Style Strong Pale Ale – 118 Entries Silver: IPA 2016,・ヤッホーブルーイング

全受賞データはこちら。出品ビール数や国の詳しいデータはこちらから。

さてさて。
facebookなどのSNSで「ワールドビアカップで日本のビールがたくさん賞を取った!すごいぞ、日本!!日本のクラフトビールも世界レベルだ!!」というような論調の発言を多数見かけました。その時私は「ん?」とちょっと首を傾げたのでした。それはちょっと短絡的過ぎると思うのです。

ブームだからこその危機感という先日の投稿でも書いたとおり、飲めないほど酷い出来のものもまだまだたくさんあります。「日本全体のレベルが上がった」などという考えは全くもって間違いで、「世界で勝負できるほど美味しいものが作れる醸造所がいくつか日本にあることが証明された」というのが正しい。言い換えれば、ごく一部のトップの人たちが素晴らしいのであって、全体ではない。

クラフトビールの世界は「美味しいが絶対的正義」であり、そこに国や人種や宗教やらは全く関係ない。うまいものを作れる人がその作品をもって評価される世界なのだと思います。世界と勝負しやすくなった分、競争は熾烈を極めるでしょう。そんな中で入賞を果たした醸造所の皆さんには心から「おめでとうございます!」と申し上げたいです。これからも素敵なビールを醸して下さい。応援しております!!

一点追記。
東京のデビルクラフトさんが今回いきなり金賞を取っています。デビルクラフトさんは醸造を開始してまだ一年。たった一年で受賞というのは本当にすごいことだと思います。でも、それは偶然ではなく、必然だったのかもしれません。オーナーの3人のことはよく存じ上げていますが、ビールのことを本当に心から愛し、そして美味しいものを作ろうと日々勉強されている方々です。その努力と精神とがこの受賞に結実したのだと思います。実力があれば開業年数なんて関係ないということがまた一つ証明されたわけです。デビルクラフトに続く醸造所がどんどん出てきて欲しいです。