フランス・ブルターニュのドラフトシードルを楽しもう!

CRAFT DRINKSは現在ビールを中心に活動しておりますが、「クラフトビールはクロスオーバーだ!」とずっと言い続けているように、他のジャンルから新たな発見をしてビールにフィードバック出来たりもするので何でも飲みます。ただただ美味しいものが大好きなだけで、原料や製法、税の種類などで区切ったりせずフラットな気持ちで楽しむことを大事にしています。

麦の醸造酒はビールですが、りんごの醸造酒はシードル。すぐ隣りにあるジャンルのものです。クラフトビールというアメリカンカルチャーの隣接領域としてアメリカのHard Cider(ハードサイダー)が近年日本にもたくさん輸入されるようになりました。りんご以外の果物を入れたり、ホップを効かせたりと自由な発想で面白いものが生まれていて、ボトルショップでは見る機会も増えてきています。たとえば、アメリカ・ポートランドのブランド”Reverend Nat’s Hard Cider”。こちらはホップとアプリコット入り。

 

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クラフトビールファンの方はアメリカンハードサイダーを見ることが多いかもしれませんが、りんごの醸造酒はアメリカに移民する前から欧州で作られていて、イギリス(英語でサイダー)、スペイン(スペイン語でシドラ)、ドイツ(ドイツ語でアプフェルヴァイン)、フランス(フランス語でシードル)などで今でも盛んに作られています。なんだかクラフトビールの構図にも似ていますね。私の少ない経験で恐縮ですが、面白くて興味深いのがアメリカで、何はなくともしっくり来るのが欧州のものという感じが何となくしています。アメリカがモダンでイノベーティブとするなら、欧州のものはオーセンティックでアルティザンと言いますか。

ここ数年メディアでシードルが取り上げられることも多くなりました。若者のアルコール離れはいまや日本だけでなく世界的な傾向ですが、食のライト化・健康志向の潮流にも乗って「プリン体ゼロ」・「グルテンフリー」・「低アルコール・低カロリー」というシードルの特徴が少しずつ認知されてきたように思います。

毎年開催されている長野シードルコレクション、東京シードルコレクションもそれに大きく貢献しているでしょう。年々参加者も増え、会場も大きくなりました。2017年、信州まし野ワインさんやBar Eclipseさん、シードルマスター協会さんなどと協力してCRAFT DRINKSでは日本初のケグ内二次発酵シードルを作るプロジェクト”シードルオンタッププロジェクト”を行いましたが、”シードルオンタッププロジェクト”のキーケグ詰めシードルのお披露目も東京シードルコレクションでした。私も初回から参加していて、会を重ねる度に思うのは生産者、輸入元だけでなく、愛好家の皆様の熱量もどんどん上がってきていることです。シードルって良いですよね、やっぱり。

 

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ところで、シードルコレクションで試飲して激しく衝撃を受けたシードルがありまして。目から鱗が落ちました。このシードルのことは一生忘れないと思います。たった2%しかないのにちゃんと渋くて甘くて酸っぱくて。にもかかわらず全く薄っぺらくないのです。いやぁ、フランス恐るべし。

こちらはVal de Rance(ヴァルドランス)というシードルの名産地であるフランス・ブルターニュの作り手のものです。昨年末に放送されたNHKの「世界はほしいモノにあふれてる▽冬の新定番!極上シードルを探す旅ブルターニュ」で特集されたメーカーと言えばお分かりになる方も多いかもしれませんね。

ブルターニュ地方では昔からシードル作りが盛んで、今もこだわりの生産者によって伝統的な作り方にこだわる本格的なシードルが日々産まれています。特に「アルティザンシードル」と呼ばれる職人手作りのシードルが注目を集め、今やワインやシャンパンと共に食卓のシーンを演出しています。クラフトなシードルというわけです。

 

ガレットにシードルを合わせるのがブルターニュ流で、私も体験したことがありますがやっぱり良いものです。最後の写真では男性のテーブルの左側に小さな陶器の器がありますが、あれはシードルボウルというブルターニュ地方でシードルを飲む際に伝統的に使われるお椀型の器です。これもまた風情があって素敵。

シードルもビールに状況がとても似ていて、「クラフト・シードル・ルネサンス」と呼ばれるアメリカ・ポートランドにて産まれた小規模生産者によるハードサイダーのブームは今や全世界的なムーブメントとなり、若い世代を中心に広く受け入れられています。その波は当然フランスにも来ていて、伝統的なボトルのシードルが好まれる一方で「ワインより気軽に、ビールよりおしゃれ」という感じで樽生のドラフトシードルが人気なのだそうです。ヴァルドランスでもフランス国内向けにドラフトシードルを作っていて、カフェをはじめとする多くの飲食店でカジュアルに楽しまれています。シードルの新しい楽しみ方が普及しつつあります。

実はヴァルドランスのドラフトシードルはキーケグに詰められています。CRAFT DRINKSでこれまでに何度もご紹介している通り、キーケグは非常に能力の高い容器です。これによってフランスから遠く離れた国にもフレッシュなシードルが届けられるようになりました。

それもあって今回日本にも初めて輸出されることになり、キーケグ詰めということでCRAFT DRINKSに声をかけて頂きました。大変光栄なことです。ありがとうございます。そして、初回入荷分については私どもCRAFT DRINKSで全量お引き受けすることとなりました。

シードルは好きで色々飲むようにしていますが、フランスのものは大瓶が多いんですよね。1人で開けるのはなかなか難しいし、気軽に日々飲むには結構ハードルが高いなぁと思っていました。美味しい醸造酒としてもっとシードルは普及すべき存在ですし、それをもっとカジュアルに飲んで頂けたらといつも思っていたので、1杯の量を加減出来る樽生のシードルを今回お届け出来ることを非常に嬉しく思います。ブルターニュといえばシードルにガレットなのかもしれませんが、そういうことにはこだわらず、まずは気楽にバーやパブで楽しんで頂けたら嬉しいです。フランス・ブルターニュのシードル、お試しください。

こちらのドラフトシードルにご興味のある飲食店の方は会員登録の上CRAFT DRINKS SHOPにて詳細をご確認くださいませ。