【雑記】触れるきっかけ

私事で大変恐縮ですが、Amazon primeに加入してから生活が結構変わった気がしています。通販はもちろんなのですが、Amazonプライム・ビデオが予想以上に良くてびっくりしておりまして。これまでアメリカのドラマばかり観ていてアニメは全然だったのですが、「ま、実質タダだし見てみるか」くらいの軽い気持ちでちょこちょこ見るようになったら「むむっ、これは!!」と思うような作品がたくさんあることに気が付きました。ちなみにGWには一生懸命鬼滅の刃を観ておりました。

面白くてPsyco-passなんかは第一期から第三期まで一気に全話見てしまいました。どことなく大好きな攻殻機動隊を想起させるものがあるし、シビュラシステムという発想自体にもハッとさせられるのです。ドミネーターを向けると犯罪係数が高くて色相が濁っている人が可視化され、問答無用で排除が許可される世界は何を暗示しているのだろう。SNSでの誹謗中傷が最近話題に上がっているけれども、そういう行動や思想が数値化、可視化されて個人がシステムに管理されるような世界が到来するのも有り得るのかもしれない。

それはさておき、Psyco-passを観る時毎回聴くのが「凛として時雨」というバンドのabnormalizeなのです。

第二期はEnigmatic Feelingです。

何の気無しにPsyco-passを選択して再生したら「おー、このアルペジオと高音シャウトは!TKだ!時雨だ!!」と。実はこの「凛として時雨」というバンドのことは以前から知っていました。確かギターマガジンで読んだと記憶しています。telecastic fake showの頃からだから2008年あたりでしょうか。JPOP Xfileとかもカッコいい。エフェクターの使い方がまたお洒落なんですよね。

私の場合は凛として時雨をすでに知っている状態でPsyco-passを観ているわけですが、普通はPsyco-passを観ていたらついでに凛として時雨に出逢ったというパターンが多いのではないでしょうか。アニメ自体の面白さ、世界観とのリンクもあってこのバンドへ興味が生まれ、spotifyやyoutubeなどで他の音源を聞いた方もたくさんいらしたことでしょう。純粋に単体でカッコいいですからね、中には気に入ってライブに行った人もいるかもしれない。もしかしたらコピーしたくてシェクターのTKモデルテレキャスターを買う人もいたのではないだろうか。

別の日のことですが、「なにかビールやお酒の新刊が出ていないかな」と思ってふらっと本屋に寄りました。めぼしいものがなかったので料理王国や料理通信などいつもの雑誌をパラパラめくり、ビジネス系の新刊でもチェックしようかとフロアをウロウロしていたら棚にこんな本があったのです。

衝撃を受けたのです、本当に。バンドリ!のキャラクターが教えてくれる楽器の教則本があるというのを知って驚きました。バンドリ!のことは全然知らないし、まだ観てもいないのだけれど、世間では結構人気なのだそうです。いつぞやの放課後ティータイム的な感じなんですかね?その当時あずにゃんの赤いムスタングは確かに売れたし、バンドリ!でもそういう流れなのだろうか。なるほどねぇ。バンドリ!をきっかけに楽器を買ったり、習い始めたりする人もいるのだ。本格的にバンドを組む人もいるんだろう、きっと。

確かにアニメがきっかけで音楽を知るってことはあり得るなぁ・・・と思います。きっかけは何にせよギターやベースに触れて本格的に趣味になったり、その繋がりで新たな世界が広がったりすることもきっとあるはずだ。

ちょっと考えてみると、お目当ての何かに付属していることで鑑賞者の視界に入り、全く別のフィールドがあることが知覚されるということが往々にしてあるということだろうか。ハマるかどうかはさておきエヴァンゲリオンで獺祭を知った人もいると思いますし、きっとこういう例は枚挙に暇がないでしょう。別ジャンルとコラボすることで、それまで無関心だった層への訴求となります。既存ファンとのエンゲージを高めるのではなくて、そのジャンル、シーンに対して純粋にファンを増やすことになるわけだ。

何故こんなことを考えたのかというと、コロナウイルスの影響で飲食店に足を運ぶ方が減り、お店の方と相談しながら実際に飲んで試すという行為が少なくなった時にコモディティではないものを知って頂くにはどうしたら良いのか?とずっと思い悩んでいたからです。無くても死なないけれど、あったら楽しいものに新しく触れるきっかけが大分作りにくくなったのではないかと感じています。

SNS全盛の時代なのですでにクラフトビールを愛してやまない方々はパブやブルワリーのアカウントをフォローしていて勝手に情報が降りてくる環境にいらっしゃるでしょうし、お気に入りのブルワリーから通販でビールを取り寄せていることでしょう。しかし、まだ親しんでいない方、全く触れた経験のない方に新たにクラフトビールを知って頂くきっかけを今後作っていくにはどうしたら良いのだろうか。安くもない全く未知なものを気軽に試そうとはなかなか思えないし、しばらくビール祭りも難しそうだとなると、ブランドとのリアルなタッチポイント、特にファーストタッチをどこで生み出すか。そこへのスマートな導線も含め、リアルなファーストタッチについて考えていかないといけない気がします。

触れるきっかけ作りとして、たとえばクラフトビールをアニメに溶け込むよう組み込んだら、調べてみようとか、試してみようという気持ちを育むことが出来るのだろうか。今そんなことをぼんやり考えています。