成功しているビアバーがやっている5つのこと④清潔さ/日々のメンテナンス

成功しているビアバーがやっている5つのことと題して、アメリカの事例を元に以下の5点について考えていきます。一番最初に書いた通り、これはアメリカの話なので完全に日本と同じというわけでもないかもしれませんが、参考になると思います。良い部分は取り入れて、日本アレンジを加えれば良いでしょう。

第四回目の今日は3. Cleanliness/Maintenance(清潔さ/日々のメンテナンス)について。craftbeer.comの記事の該当部分をまず見ていきます。

3. Cleanliness/Maintenance(清潔さ/日々のメンテナンス)
Dirty glassware and sticky bars or tabletops are quick and easy ways to spoil an experience, but true craft beer cleanliness needs to go deeper. Bars should be paying close attention to glassware, kegs, taps and maintaining their draught systems.
汚れたグラスやベタベタするお店では感動体験がいとも簡単に損なわれます。本当に美味しいクラフトビール体験には清潔さが必要です。お店はグラス、ケグ、タップにしっかり注意を払い、システムを常にメンテナンスしなくてはいけません。

Draught etiquette is another aspect of beer service that is sometimes overlooked. Glasses should be rinsed before they’re filled with beer, and the draught faucet should never come in contact with a patron’s glass or beer.
ドラフトビール周りのエチケットは結構見落としがちな部分です。グラスはビールを注ぐ前にリンスすべきですし、注ぎ口はグラスおよびビールに触れてはいけません。

今回の引用部分は非常に短いです。実際はこの後ろに「詳しくはdraughtquality.orgを見てね」となっていて、詳細については全然書いていないのです。BAが出しているDraught Quality Manualも非常に参考になりますので、是非ご覧になって下さい。

当たり前のことしか書いていないのですが、改めて意識しても良いかもしれません。清潔な場所、清潔な環境は気持ちよく楽しむためには大事なことですから。日々の清掃はもちろんのこと、ビール周りの機材についても同様だということですね。

スポンジについては家飲み品質向上計画① スポンジ編で、トーションについては以前家飲み品質向上計画④ グラス拭き編で書いたので、そちらをご覧ください。油分は大敵ですから、スポンジ、トーション類はお皿や調理器具と兼用すべきではありません。グラス専用に用意してください。トーションを専用に用意しても使い続けて生乾きになったものを使うとその臭いがグラスに移りますからご注意を。拭いて磨くなら、長繊維やケバケバが出ない化学繊維のものなどがおすすめです。

タップ部分は分解して洗浄してください。サーバーシステムにおいて常時外気とビールが触れているのがこの部分ですから、重要なポイントです。ケグに繋がるカプラーの部分も同様です。

何はともあれ、きちんと清潔にしていないとどうなるのか?ということは知っておかねばいけないと思います。以下の良い例、悪い例を示した動画を是非見て下さい。お客様から見えない部分ですが、ビールにはその証拠が如実に現れます。

ライン洗浄に関するオリンピック タヴァーンというお店の事例 (良い例)

ビールホース、殿堂入りの悪い例(hall of fameではなくて、shameだよ!!)

さて、先日行われたセミナーでこんな質問がありました。

ビールホースの水洗浄、スポンジ洗浄、薬品洗浄はいつやればいいのでしょうか?目安や参考になる日数や数字はありますか?

非常に大事な点だと思います。ご一緒した方たちは「樽交換毎に水洗浄」という点では一致しましたが、スポンジ、薬品洗浄に関しては必要に応じて、と言った感じでバラバラでした。官能評価上、加えて目視で汚れていたら絶対にやるべきだと思いますが、期間を区切るのは難しいようです。その時私は敢えて「ビールホースごと交換します。薬品洗浄はしません。その方が不安要素が減って安心なので。」と交換について少しだけ言及しました。洗浄に加えて「交換」というのも選択肢にあっても良いだろうと思っています。

特注でウォークイン冷蔵庫を改造したサーバーシステムを組んでも、メンテナンスやサニテーションが悪かったら意味がありません。繋いで注げば良いというわけではなく、「美味しく注ぐ」為にも日々の気遣いが大事です。お客様の笑顔が広がるクラフトビールであって欲しいと願います。

ドラフトシステムに関する日本語書籍は恐らく全然無いと思います。「Draught Quality Manualなど、資料を精読する会」もやりたいと思っております。如何でしょうか?皆様のご意見、お待ちしております。