
隣接ジャンル企業の協業
これは日本でも応用出来るのでは?という取組みについてご紹介します。
How craft beer and cider can work together to beat the mainstream
Siren Craft Brew and Red Fin Cider have teamed up to help
Red Finというりんごのお酒であるサイダーの醸造所とSirenというビール醸造所が協力し、双方のお酒を販売します。樽詰めの Red Fin 社製サイダーを Siren から直接購入できるようになりました。ビールとサイダーの配送を一緒に出来るのでパブの経営者には朗報です。また、注文と空き容器の回収が同時に出来るメリットもあります。
前提としてビールとサイダーは市場において競合していないという合意が出来ていて、その上で協調した方が販売側だけでなく仕入れ側にもメリットがあるという認識でも一致しています。記事内でマージンについて言及がないので断言は避けますが、金銭的にもそれなりにメリットがあるはずだと考えるのが妥当でしょう。既存顧客にそれまでなかった商品をおすすめしてクロスセルを狙う形だと思われます。
さて、日本に話を移しましょう。本来この機能を担うはずの業務用酒販店が一切行っていないということは改めて指摘されて良いことだと思います。冷蔵保管設備の問題、冷蔵車での配送の問題もあり、業務用酒販店が無濾過非加熱のクラフトビールやサイダーをケグで取り扱うことは極めて少ないです。そのため、飲食店は長いリードタイムを我慢し、高い往復の配送料を支払って仕入れています。これが最終的に売価に跳ね返ってくるので、実在庫と消費地の距離を縮めていく必要があると考えます。業務用酒販店が乗り気でないならブルワリーがそれを担うという発想もあって然るべきです。
ただ、面倒なのは卸免許を取るのか、いや、そもそも取れるのかという問題です。ビールの卸免許を取るのは非常に難しい。取扱数量は勿論ですが、元々需給バランスを考えて免許軒数をコントロールしているので、地域によっては絶対に取れない場合もあります。気になる方は酒類卸売業免許心性の手引をご覧ください。現実的な解としては相手先の倉庫内部に蔵置所を設置するのが良いでしょうか…うーん、悩ましい。
やっぱり業務用酒販店に頑張って欲しいなぁ。