押さえておきたい世界の潮流 お酒の最低価格制度
スコットランドのアルコール最低価格が30%上昇、という報道です。
BBC Minimum price of alcohol in Scotland rises by 30%
2018年にスコットランドで導入されたMUP(Minimum Unit Price、最低価格制度)は当初アルコール1単位あたり50ペンスに設定されていましたが、現在金額が30%上がりました。具体的な価格はこちらです。
1単位あたり、という言葉が出てきますが、それは「純アルコール 10 ml または 8 gを1ユニット」ということで、平均的な人の適正量を可視化します。可視化することで飲み過ぎを意識できるようにしていこうという取り組みです。
どういう文脈なのかは先日アップした「低アルブームに伴って必要となる議論と制度、MUPに関して」も参照してください。
上記で説明していないポイントは冒頭の記事にあるこちらです。
MUP is not a tax to generate income for the government. Instead it aims it to reduce the availability of cheap alcohol in shops by setting a minimum price.
MUP は政府の収入を生むための税金ではありません。最低価格を設定することで、店頭での安価なアルコールの入手性を減らすことを目的としています。
税収増を狙っているのではないというのが大事です。安いお酒が氾濫することでアルコール依存症などを助長し、健康被害が広がると最悪人が死んでしまいます。保険を使うと国庫に影響しますし、国民の健康と国家財政を両立させるためにお酒の価格を上げて買いにくくするという意図があるということなのです。
MUPに関する議論は日本ではなされていないようですし、お酒に対して非常に寛容な日本ではそもそも議論されないかもしれません。価格については酒税によって国家の方から調整しているような気もします。しかしながら、 自主的な取り組みはすでにたくさんなされていることは押さえておきたいところです。
適正飲酒を身に付けよう | 適正飲酒のススメ | キリンホールディングス
Drink Healthyを進める取り組みとしてアサヒビールのスマドリも注目して良いでしょう。
また、Drink Healthyを阻害するかもしれないものを製造・販売しない、もしくは縮小するという流れも出てきています。
サッポロも酎ハイの度数抑制 ストロング系に健康リスク(共同通信) – Yahoo!ニュース
お酒を飲むということは個人的な行為ではあるけれども、社会に対する影響がゼロでは無いという意味で一定の公共性を持つということはもっと認知されても良いことだと思います。飲酒というのは自由の謳歌、裏返せばある意味で愚行権の行使でありますが、心が弱ってしまう人も多い今の世の中ですから、その結果を個人にのみ帰すのではなく、社会で包摂していく形を採るのが望ましいと思います。社会的に形成されたアルコールに関する合意、通年はちゃんと意識しつつ、上手に楽しみたいものです。