イベント被りとアテンション、日頃の発信や魅力の伝え方に対する通信簿として

カレンダーを見ればもう11月。妙な暖かさの日が続いていますが、今年もあと2ヶ月を切りました。ACBE(American Craft Beer Experience)などが控えていますが、そろそろ野外のビール祭りも終わりでしょうか。思えば、3月終わりくらいから毎週末何かしらのクラフトビール系催事がありましたね。私も結構な数のイベントに行き、各地で飲み散らかしていますが、やっぱり仲間と乾杯するのは楽しいものです。

今年は新型コロナの勢いが一時よりも落ち着き、マスクをしなくても構わないという流れになったのも大きいでしょう。抑圧された状態からの反動として解放された感覚が増幅し、それも手伝ってか、私が参加したイベントはどこも大賑わいでした。久しぶりにそういう感覚を味わい、しみじみ良いなぁと思ったものです。

さて、ビール関連のイベントの日程を調べてみると大抵土日に開催されるわけですが、これはビールに限った話でもなく、どんな催事、興行も土日に集中します。多くの方が平日に働き、週末はお休みするというサイクルなのでこれは仕方ない。ジャンル問わず行きたいイベントが多くて悩ましいわけです。イベントスケジュール被りまくり問題を最近強く感じます。

そこでちょっと考えてみたいことがあります。

1年は52週で、土日は週に2日。年間104日が土日になります。そのうちどれほどレジャーに費やしているだろうか。ライブにも行きたいし、テーマパークにも行きたい。服も買いに行きたいし、旅行にも行きたい。各人の興味関心は一つに絞ることは出来ず、幾つもの事柄に心を奪われています。そう考えると、約100日の土日を様々なエンタメが奪い合っているとも言えるでしょう。日程の被ったビール祭り同士がビールファンのアテンションを奪い合うという状況がミクロにありながら、ビールはワインや日本酒、ウイスキーなどその他の飲み物と競い、もっと広い視点で見れば音楽や演劇などその他のエンタメと競争している。挙げればキリがないけれども、マクロにはもっと多くのものと競い合っているのでしょう。

面白そうなモトやコトが世の中にたくさんあって、それらを愉しむこと、消費することに日々とても忙しい。やりたいことがありすぎて困ってしまいます。実際問題やれることは限られていますから数多ある選択肢の中からほんの僅かだけが選択されます。その時クラフトビールが選ばれるにはどうしたら良いのだろうかということを最近考えています。

年に一回、お休みの日にビール祭りに行く人がいるとすれば、それはその人の土日の1%をビールを飲むという体験に費やすということです。たった1%だけれども、この1%は非常に大きい。シーンを変える力を秘めています。

これは自省も込めてになりますが、今日までクラフトビール業界はクラフトビールの魅力をどれだけ発信してきただろう。これまでの語りかけが実って、たくさんの人の心にクラフトビールなるものが刻み込まれたならば主体的にイベントに来てくださるでしょう。実際どれほどの人びとが来場するか。それはこれまでの活動に関する通信簿のようなものかもしれない。

終わった時に振り返ると、結果としてたくさんの人が来たかもしれません。その多さ、集客の具合に一喜一憂しがちだけれども、それが主体的かつ好意的な飲み手なのか、抑圧からの解放に伴う偶発的に生まれた一時的な飲み手なのかはよく観察しておかねばならないと思います。特に今シーズンはそう思っておかないといけないはずです。私は参加するイベントで会場をプラプラ歩きながら周りを見回し、来ている方たちのことを観察するのですが、しばらくはこれをテーマに眺めていきたいと思っています。

ということで、CRAFT DRINKSは11日に文学フリマ東京に参加します。入場無料のイベントなので是非。それとは別にちょろっとACBEにも顔を出そうと思います。お会いできた方は是非乾杯しましょう。