意味深なぼったくり

非常に面白い記事がありましたのでご紹介致します。こんな時代だからこそ、こういう逆張りが効果的です。

Manitoba restaurant charges $15 for Bud Light to promote craft beer instead

カナダ・マニトバ州のブランドンという街にあるレストランがBud Light(バドライト)を15ドルで販売していると報じられています。ピッチャーで1L入っているわけではありません。341ml(12oz)で、15ドルです!!バドライトと言えば世界最大のビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブのフラッグシップ商品で、北米で一番売れているビールです。値段も非常に安く、お店で飲んだとしても1杯7ドル程度が相場だそうですが、倍以上の15ドルを付けていることで話題になりました。ぼったくりだ!!と思ってお店の公式HPを見ましたが、、、、本当です。ぶっちぎりで高い。世界一高いバドライトかも。

その理由はこうです。多くのお客さんが好意的にこれを評価していますが、一部否定的な人もいるそうです。

She just wants to coax people into trying some of the craft beer on her menu from smaller breweries in Manitoba and other nearby provinces and states.
“Brandon is very much a Bud Light town and it’s a farm kind of culture and very small-town mentality,” Dumas said of the city of 49,000.
“I figured the only way I was going to get people out of their comfort zone was to charge a ridiculous price for a beer that I shouldn’t.”
メニューに載せている地元マニトバや近隣の地域の小さなブルワリーのクラフトビールを試してもらえるように誘導しようと思っただけなのです。
人口49,000人のブランドンという街に対してこう言っています。「ここはバドライトばかりの街で、田舎のムラ社会的」。
「今いる場所から出てきてもらおうと法外な値段をわざと付けることにしました」

さて、この方策は非常に有効だと思います。敢えてセオリーとは逆にすることで周りとの差別化が自然と生まれ、存在感がぐっと増します。価格によって飲み手にクラフトビールを試す機会を意図的に作り、クラフトビールの良さを体験してもらうことは長期的な視点で見てシーンにとってもお店にとっても優位に働くでしょう。また、SNSの時代にこういう事実がブログやその他媒体に報じられ、拡散していくことでお店の認知も高まります。遠く日本で私がこういう文章を書いているということもその1つですね。

もちろんこういうあからさまなやり方に批判や反論を唱える人も出てくるでしょうが、そういう人はお店に来ない人ですし、ほおって置けば良いという覚悟さえ出来ていれば何も問題ないわけです。100人中100人に愛されることがクラフトビールにおいて有り得ないのだから、共感してくれた数少ないファンの皆さんと長く共にいることを大事にすれば良いのでしょう。排他的ではいけないけれども、自分たちと反りが合わない人もいるという事実を正面から受け入れるメンタリティもクラフトビールには重要なのかもしれません。意味深なぼったくり、とても面白いと思います。