醸造所はSNSを活用しよう、という話 おまけ

昨日までBAのSNS活用を勧める記事を元に色々と書いてきました。そこには書いていなかったけれど、CRAFT DRINKSとして大事だと思っていることを今回綴っていきたいと思います。

CRAFT DRINKSが一番嫌いなのは「宣伝広告が上手なだけで、品質の伴わない全く美味しくないビール」です。確かにそういうものは一時売れるのかもしれないけれど、それが長い目で見た時に誰かの幸せを増やしたり、文化形成に寄与するとは思えないのです。新しいことや珍しいことを強調したところでそのうち陳腐化しますし、きっと小手先のテクニックは見透かされてしまいます。口にするものであり嗜好品なのですから、ちゃんと醸した美味しいものでないと。これは大前提で絶対に揺らがないものだと思います。

以前、こんなことがありました。

新商品が出るので記事を掲載して欲しい、ととある企業からメールが来ました。要するに、私どもで運営するメディアやSNSなどを使って宣伝して下さいということです。CRAFT DRINKSとしては美味しいもの、品質の高いもの、ちゃんと文脈があるものをご紹介していきたいと考えており、ただ単に新商品が出たからと言って執筆も掲載もしません。そこで、当該のビールを飲んでみて美味しかったらそれをその通り書きたいと思います、とお返事しました。バイアスがかかるといけないので、定価で購入するので買える場所を教えてくださいとも添えて。

で、試したわけです。

結論としては、劣化していて全く美味しくなかった。そして、その旨そのまま回答し、執筆・掲載についてはお断りしました。

有り難いことに、このページは本当にたくさんの方にご拝読賜っております。そして、SNS、特にfacebookでも相当数の方にリーチしています。そのことを非常に嬉しく思うと同時に、身の引き締まる思いでもあるのです。信念を曲げたものを書かないことを貫かねばならないとも思います。正直なところ、日和ってウケの良さそうなことを書くのは簡単です。全然難しくない。でも、それは道に外れることです。

本当に美味しいものはそれだけで価値があり、規模の大小を問わずそれを応援したいと思っています。たとえばSNSというものは、良いものをより多くの方に知って頂くための手段として、そしてそれをブーストさせる機能として使うべきなのではないかと思います。最初にあるべきは美味しいビールとそれを醸す人。そこにストーリーが生まれ、それがSNSという媒体に載れば自然と広まるのではないかと信じています。この順番は逆では無いと思うのです。

2017年は日本のクラフトビールシーンにとって極めて重要な年になると思われます。生き残るのは「ちゃんと醸して、ちゃんと語ったもの」であって欲しい、そう心から願います。