傷のある瓶

ベルギーのビールがとても好きです。特に瓶ビールが好きで、何故か心惹かれます。軽いものも、重いものも、苦いものも、甘いものも、本当に奥行きがあって素晴らしい。色々なものを飲むようにしてはいるけれども、結局ここに戻ってきてしまうような気がするのです。うまく言葉に出来ないのですが、不思議な魅力に溢れています。

ベルギーの瓶ビールを今までたくさん飲んできて、気がついたことがあります。傷だらけのものがあったりするのです。お手元に何かお持ちでしたら見てみてください。白い筋のような傷がたくさんついた瓶があるかもしれません。そんな瓶を今までたくさん見ましたが、何故こうなるのだろう?とずっと思っていました。

よくある例としては、表ラベルの上側、下側の高さに傷が付いていることがよくあります。写真は手元にあったGordon Scotch Aleです。瓶の右端、下の方に白っぽい筋となった傷がついています。(見にくいかもしれません、ごめんなさい)

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その答えとして有力なのは「リユース」だということを聞きました。
瓶は一度使って捨ててしまうのではなく、洗って何度も使用します。そのおかげで、何度も使用された瓶は流通過程や洗浄、瓶詰め作業、ラベル貼り付け作業などで傷がついているそうです。傷は何度も使ったリユースの証、とも言えます。

確かに傷だらけの瓶は見た目が良くないけれども、汚いものではなく、ここに届くまでの歴史が刻まれているのだと思ってあげると良い気がします。その傷は何度もリユースされながら、どこかの誰かが楽しんできた証拠だと思えば可愛らしく見えるのではないでしょうか。見た目はとても大事なのですが、たくさんの傷から透けて見える「時間」や「見知らぬ誰かの幸せ」に私は惹かれているのかもしれません。もちろん中身が美味しいということがあってこそ、ですけれど。

今度ベルギーの瓶ビールを開ける時は一度ゆっくり瓶を眺め、手触りを感じてみて下さい。