IPAのPはもうPではないけれど、まだやっぱりPなんだよね、きっと
信号は青になったら手を上げて渡りましょう。そう幼稚園の頃に教わりました。本当はミドリだけれど。ミドリなのだけれど、青なのか、うーん、なんだか納得いかないけれど、そういうものなのか。
大人になるにつれ、処理し無くてはならない情報は多くなっていきますが、脳は一から考えるのは面倒なので認識を節約したがります。つまり、「当たり前のことは毎回考えなくても良いことにして、そこから先だけ考えよう」とします。ミドリだけれど、青なのはなぜか?なんて毎回考えていたら、道を渡れなくなってしまうのですから。それはそういうものだと認識して生きていかねばなりません。
しかし、たまには当たり前や常識を疑ってみないといけません。時代に合わなくなっている可能性があるからです。いつの間にか変化していて時代に即したものに作り変えなくてはならないかもしれない。特にクラフトビールのようなジャンル横断型のクロスオーバーな存在を見た場合、そういう例がたくさんあるのではないかと思います。
たとえば、P。IPAのP。
India Pale AleのPale(ペール)は元々「黒っぽい濃い色ではなく、淡い色であること」を指します。赤い三角マークで有名なイギリスのバスペールエールなどが代表ですね。確かに結構幅の広い使い方をされるものではあると思います。ここまでは良いのです。
ビール品評会の審査員用ガイドライン”BJCP 2015“を例に見ると、IPAは細分化されていて、サブカテゴリー(亜種くらいの意味で考えてくだい)がたくさんあります。IPAタイプのものの人気が伺えます。では、Specialty IPAに含まれているものを列挙してみましょう。
- Belgian IPA
- Black IPA
- Brown IPA
- Red IPA
- Rye IPA
- White IPA
・・・ブラック??ペールなブラックは存在するのでしょうか?
BrownやらRed、Whiteも出てきています。Blackは流石に矛盾しますよね・・・IPAのPはもうPではないけれど、でもやっぱり世間の認識はIPAのPなんだよなぁ、きっと。Pは淡色と説明されていてそういう認識が根強く、まだまだ変わっていません。しかし、もはやPはPaleではないのです。今現在のシーンの認識はここまで来ています。