作り手だけでなく、流通経路が信用を生むワインの話
今日は少しワインのお話でも。今回取り上げる”first hand”、”second hand”という考え方もビールに転用できるのではないかと思うのです。他のお酒のことを知ると相違点・共通点が見えてきて本当に勉強になります。
オークションが日本でも少しずつ認知されてきました。たとえばヤフオクを利用されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。探していたものが格安で手に入ったり、絶版になったものが見つかったりするので大変重宝します。
世界中にワインをこよなく愛する方はいて、セラーを構えてコレクションする方も少なくありません。高級ワインをサザビーズやクリスティーズに代表される「オークションハウス」で落札する好事家の方もいらっしゃいます。長期熟成が期待できるものを安くない価格で購入する場合、作り手の評判や畑の格付けはもちろんですが”second hand”を考慮することがあるそうです。
“second hand”は「中古」といった意味ではなく、「二番目のオーナーの手元にあるもの」という意味で捉えてください。具体的には、作り手が”first hand”で次の所有者が”second hand”です。落札者が三番目になるわけですが、落札するかどうかは第一、第二所有者が劣化させずにちゃんと管理、保管していたのか、高い品質を保っているのかという点も大きく影響します。開けて味見をするわけにはいきませんから、大事な判断材料です。たとえば、収集家のコレクションをオークションに放出する際は当然所有していた方の評判や信用が考慮されるわけですね。
一旦まとめましょう。「作り手の評価や畑の格付けだけでなく、品質に関して自分の手元に届くまでの流通経路も考慮する」ことが良い状態で持っておきたい方や召し上がりたい方にとっては重要だということです。裏を返せば、「作り手も格付けもビンテージも良いのに、自分の手元に届くまでの所有者が手を抜いたせいで品質がガタ落ちになって全く美味しくないものがある」ということでもあります。その意味ではパーカーポイントはあまり意味が無い。
あれ?ビールも同じじゃないですか?
ratebeerやbeeradvocateで高得点を叩き出す評判のビールであっても保管状態が悪ければ全然美味しくない。以前ビールがワインやウイスキーより難しい点という投稿で以下のように書きました。
- ラベルや醸造所の名前は美味しさを保証してくれません
- 高くて不味いものはたくさんあるし、安くて良いものも探せば結構ある
- ビールにも寝かせて美味しいものがあるのだから、全てのものに対して賞味期限は気にしなくても良い
流通経路に信用が生まれるのが醸造酒です。美味しいものに辿り着くためには絶対にはずしてはならないポイントだと考えます。