
23日に参加する文学フリマのお品書きと各作品のご紹介
23日に東京ビッグサイトで開催される文学フリマ東京に参加します。そこで頒布するものとその内容に関してご紹介致します。私どもはクラフトビールという文化現象について様々な角度から論じております。南1・2ホールのI-43にて是非ご覧くださいませ。なお、全作ブースにて見本誌をご用意しております。立読み大歓迎です。お気軽にお手に取ってご覧頂ければ幸いです。私どものウェブカタログはこちらから。
【新刊】クラフトビール メタ技術論
最近ヘイジーIPAばかりになってクラフトビールがつまらない、面白くないと感じている人も少なくないと思います。untappdのスコアで選んでも似たようなものばかりになって、多様性を標榜していたクラフトビールが発散ではなく収束していっていると感じるのです。こうした状況に陥った原因の一つは価値判断の尺度が固定化し、それを乗り越えるような新たな視点を作り出すことが出来ないままでいるからだと私は考えています。その一つの方法として「技術」を挙げたいと思います。但し、技術そのものを論じることは日本において有効なことではなく、技術を語るということがどういうことかを事業者、消費者双方を交えて論じていくことで開ける未来があると考えています。脱初級編はメタ技術論の先にあるように思うのです。
本論は角川書店から刊行された拙著「クラフトビール入門 飲みながら考えるビール業界と社会」の発展的内容と位置付けております。よろしければそちらもご拝読賜りますようお願い申し上げます。
以下、既刊です。
ビール片手に僕はこんな本を読んだ vol.2
クラフトビールというものは単に麦芽発酵飲料を指すのではなく、作り手、飲み手の相互コミュニケーションであり、社会の中に生まれる現象です。その意味でクラフトビールは社会的で社交に関する飲み物だと言うことも出来るはずですから、私はクラフトビールは人文社会学の対象だと考えています。ビールは飲むものでありながら、読むものであり、記述するものでもあると思うのです。
ビールを主題とした本を読むことで分かるビールのことはたくさんあります。それには今も高い価値がありますが、ビールが物理的に何であるかを超えてその周縁との関係や受容のされ方、時代的な意義づけなどを意識して著された本は決して多くないように思います。ですから、他の主題であっても、それがビールと何らかの共通点があって読み替えることが出来るのならば、積極的に読み替えて応用してみようと私は考えています。エッセイや小説、学術書でもそれは可能です。もっと言えば、参考になるテクストとして音楽、映画、絵画など時間芸術、空間芸術にも拡張して良いはずです。取り急ぎ本書ではクラフトビールなるものを考えるにあたってこれまでに読んできた本を幾つかご紹介したいと思います。
この「ビール片手に僕はこんな本を読んだ」という企画は主催である沖個人のものとすることなく、外側に開いたものにしようと思っています。ビールを飲み、本を読み、考える。その結果生まれた言葉が誰かに届き、その誰かがビールを飲むこと、本を読むこと、そして考えることについて何かしらの良い影響をを与えるならば嬉しいです。そのループを生む為にはこの本は私個人に閉じることなく、広く寄稿を受け付けるプラットフォームとして機能させ、狭いながらも熱量ある飲み手コミュニティを媒介するものとなってくれることを願っています。
クラフトビールの諸相 クラフトビールを起点とした人と社会に関する論考集
「クラフトビールの諸相」はセルフアンソロジーと言えば良いでしょうか、これまでの4年弱を私なりに総括するものです。私の持つ問題意識や関心の方向性が強く反映されてはいるのですが、とりあえずこの一冊を読むと今のクラフトビールシーンが持つ幾つかの側面についてイメージを持って頂けるのではないかと思います。
クラフトビールは液体として独立して存在するモノというよりも、コミュニティと相互補完的に成立する動的な現象として様々な切り口で切り取って記述されるべきものであろうということです。そして、それは感性、感情など精神の働きを多分に含むものであるから、数値だけではなく言葉によって描き出されるものに違いありません。作り手、飲み手各人の想いも様々です。一様でないからこそ多くの考え方が出来ます。ビールそれ自体を考えるだけでなく、その思考がどういうものなのか、何に由来するものなのかを考える事ができるでしょう。ビールも人も時代と共に変化していくのでそれについて思いを巡らすことに終わりはありません。この場合、終わりが来ないことは辛いことではなく楽しいことです。私がCRAFT DRINKSを立ち上げて7年以上経ちますが、一度も飽きたことはありません。日々新しいものが生まれて刺激に溢れていますからむしろ楽しさは増しているとすら思います。
本書で取り扱うテーマは多岐に渡り、様々な角度からお酒を通じて人と社会について論じてきました。コロナ禍もあって人とお酒の関わり方、そして社会の有り様も変化してきたように思いますから15作目の本書ではこれまで私が考えてきたことをまとめ、現段階で言えるクラフトビールの持つ幾つかの側面について過去作を下敷きに論じ直し、人と社会について改めて検討してみました。ベースはあるにせよ、最終的に9万字強、本文80ページほどになりました。
クラフトビールを仕事にしたいと思った時の業界俯瞰図
クラフトビールを好きになって本気で仕事にしたいと考える方がいらっしゃることは存じ上げています。過去何度もそういう相談に乗ったこともありますが、クラフトビールの業界にどういうビジネスがあって、どう動いているのか、その中にどういうジョブがあるかということがあまり知られていない。業界に飛び込んでみたけれど、自分の希望と職業がマッチしていなかったり、予想もしなかったつまらないことで凹んだりしてその熱意や想いをシーンに還元できないようでは勿体ないと思うのです。クラフトビール業界と言えばブルワリーやパブが真っ先に思い浮かぶだろうけれど、その他にも色々とあってその関わり方は複雑だということはもっと知られるべき事実でしょう。
そういう意味でシーンの状況を産業、ビジネスという視点で一度俯瞰、概観しておくことは決して損ではないはずです。私の駆け出しの頃には無かったけれど、今も無いというのは流石に良くないのではないかと思ったのです。私がその役割に相応しいのかどうかは分かりませんが、無いのだからとりあえずやってみようと筆を執りました。今どこまで来ているのか、どこまで広がっているのかを知るきっかけにして頂けたら嬉しいです。加えて、その中で自分をどこに位置づけようかと考える手助けになるならばこの上ない幸せです。
初版から3年が経ちましたが、コロナ禍を経て社会も様々な面で変化し、その影響はクラフトビールにも及んでいます。今回の改訂版ではその変化についても出来る限り記述したつもりです。新サービスも現れていますので重要だと思われるものについて新たに取り上げました。また、脚注を充実させ、可能な限り一次情報に当たって頂けるようにしています。
今回の改訂に当たって、初版には無かった「商品としてのクラフトビール」について1章新たに追加し、「クラフトビールが売れるということ」について検討しています。仕事にする時、販売することに向き合わねばなりませんが、売ること、売れることは単純ではなく、非常に複雑なシステムが駆動した結果です。今回その全てを示すことは叶いませんでしたが、様々な角度から描き出そうと努めました。生産や消費の位置関係や価値、体験の質、真正性や情報の取扱いなど多岐に渡っています。
気が付けば初版の2倍以上の文量になり、9万字を超えてしまいました。かなりの大盛りとなってしまいましたが、ご覧頂ければ幸いです。表紙絵はご縁があって漫画家・米田和佐先生に描いて頂きました。この場を借りて深くお礼申し上げます。
クラフトビール文献読書会活動報告書 1〜4
CRAFT DRINKSが主催するクラフトビール文献読書会ではクラフトビールにまつわる様々な事象を文献を読みながら議論し、理解を深めていこうとする集まりです。見られているという感覚があると本音で話せないし、見られているせいで建前、ポジショントークになっては意味がないので完全オフラインで開催しております。遠方にお住まいで参加出来ない方にも有益な議論については知って頂きたいので活動報告誌を作りました。
経済学、観光学、隣接ジャンルとの境界、世界のトレンド、日本らしさなどを様々なテクストをベースに論じ、時折ゲストを招いた講演会も企画しています。各号内容が様々なのでお手に取ってご覧ください。
サシノミ 1〜3
私どもは2015年の立ち上げ以来文筆活動をしており、2019年より出版活動を行って参りました。日々飲み屋や自宅で酔っ払いながら、自分というフィルターを通して見えた世界を綴り、クラフトビールと呼ばれる何かに輪郭を与えようと必死になっておりました。それ自体は特に問題は無いのだけれども、一つ悩ましい問題に突き当たったことをここ最近強く感じます。
様々なことを調べ、考えていくと必ず「歴史的経緯」という、形は無いけれども確実に私たちに影響を与えているものがあることに気付かされます。平たく言えば、恐らくコンテクスト(文脈)ということになるのですが、およそ自明だと思われていることもかつてそうではなかった時代があり、それが何かのきっかけで変化し、転換しているのを知ることはとても意義があることだと思うようになりました。
眼の前の一杯が五感で美味しいと感じるのは事実として、それを「美味しいと感じさせる心的、文化的前提」が何によって構築されているのか。クラフトビールなるものがなんとなく良きものとされる根拠は何か。地ビールはいつクラフトビールになり、内包される意味はどう変化したか。たとえばこんなことを考えるのです。
私自身も社会を構成する一部であり、私というフィルターを通して現出する世界は社会を示すと考える一方で、部分が全体をどこまで正確に示すかについてはあまり自信がありません。私がこれまで書いてきたことは妥当性のあることだと今でも信じて疑わないけれど、それは私という名のフィルターの癖、偏りが多少なりとも含まれるはずです。そこに味があると言われればそれまでだけれども、異なるフィルターを通した時その結果は自ずと異なると理解しておかねばなりません。同じものを見て飲んで感じながらも、全く違った見解を持つ人がたくさんいます。「クラフトビール」という語が持つ意味は各人の持つ今日までの経緯によって異なるというわけです。
クラフトビールは日々の愉しみであったり、ビジネスであったり、社交の道具かもしれません。それが何であろうと良いのですが、しっかりと向き合った人の強い想いは他者を巻き込み、潮流の一滴としてシーンに対して多かれ少なかれ影響を与えていると思います。自分自身の興味関心を深掘りしていくこととは別に、その時々に人々が持った想いに何らかの形を与えて残すことに意味があるような気がしています。
海外の国からやってきた借り物の言葉や感情ではなくて、私たちがその当事者として真剣に思ったこと、それは名もなき市民のことであるから見過ごされがちだけれど、いえ、だからこそ、残しておかねば振り返ることも出来ず、迷子になってしまうことでしょう。いつ役に立つかは分からないものだけれど、必要になった時「あの時、こうだったね」と言えないよりは言える方がずっと良い。ただただそう思います。
本書「サシノミ」という企画は私とは異なる視点、異なる立場から眺めたクラフトビールシーンを記録するものとして立ち上げました。クラフトビール関係者はもとより、ビールを愛する一般の方も対象としてCRAFT DRINKS代表の沖が乾杯を通じて様々な角度から話を伺い、それを対話という形で記述していきます。クラフトビールという現象の過去から現在、現在から未来へと変化していく様態に輪郭を与えることが出来たらと願ってやみません。また、対話を通じて浮き彫りとなったクラフトビールに関する視点、論点を整理し、クラフトビールの新たな側面を模索していく試みとしても位置付けています。クラフトビールに関する本だと言いながら、ビールの紹介もなく、ただただ酔っ払いたちが飲み屋で熱く喋っているだけの本ですが、そういう現場にシーンの本質の一端があると私は思います。クラフトビールはみんなのものだから。
第1号はファントムブルワリーの先駆けであるガージェリーの社長・別所さんと日本一と言われるビール祭りのけやきひろばビール祭りの総責任者・鈴木さんと中村さん。
第2号はイギリスのビール消費者団体CAMRAの日本人永世会員・目賀田さんとクラフトビールの最前線を撮り続けてきた映像作家・奥村さん。
第3号はJリーグ1部のガンバ大阪によるオリジナルクラフトビールの仕掛け人・亀井さんとその製造を請け負う地元の箕面ビール社長・大下さん。
Kindleについて
在庫の無くなったものは随時電子書籍のKindleにしております。CRAFT DRINKS代表の沖俊彦名義で公開しておりますのでご覧になってください。現在17作アップしております。





