クラフトビールは世界規模で動いている

海外にいる友人に趣味が自家醸造の人がいます。国が自家醸造を認めているのだから全く問題ありません。我が国日本とは大きな違いですね。

彼はとにかくビールが好き。とはいえ、自分のビールしか飲まないわけではありません。市販のビールもたくさん飲みますし、むしろそちらのほうが好きかもしれません。彼の口ぶりからすると、プロの仕事に触れることでインスパイアされるし、純粋に美味しさに感動するのでしょう。

ビール作りという行為だから難しくなってしまいますが、これは料理だったら普通ですよね。趣味が料理で何でも調べるし作るけれども、レストランで食事をするのも大好きな人はたくさんいます。実際、私もそうです。(仕事がお酒で、趣味が料理。我ながら本当に食い意地が張っているw)たとえば、レストランに行って自分の持っていないスパイスやハーブを使った料理を食べて、その風味とその使い方を知り、そして「これを使うとこんなことが出来るのか!!」と驚くわけです。その感動と経験をいえに持ち帰り、色々試しながら自身の料理に反映させていく。オーソドックスですがとても効果の高いやり方だと思います。良いものに触れ、そこから学び、試行錯誤の末自身の作品が向上していく。きっとセンスは「良いものに触れること」と「その繰り返し」によって生まれるのでしょう。

・・・ふと思ったのです。

ビールを飲むのが好き、ではなくてで書いたように、自家醸造違法の国においては免許取得前に練習することは許されない。ということは、基本的には免許取得後に試行錯誤し始めるということではなかろうか。制度として変だなぁといつも思います。実際、免許を取得し正規の手続きを踏んで作られていても全くもって評価できない国産クラフトビールを最近ちょこちょこ目にするようになったと経験上感じます。ちょっと問題だなぁと思う次第です。免許を取得しているプロだからといって必ずしも美味しいとは限らないというのは残念ながら事実なのですね。

どこの世界にも天才はいて、そんなに練習しなくてもスゴいものを作ることの出来る人はいます。センスの塊みたいな人が。でも、それはごく僅かでしょうし、極めて例外的だろうなぁ・・・と何となく思うのです。きっとアメリカのクラフトビール初期もプロなのかアマチュアなのか区別できない状態から始まったのだと思いますし、玉石混交のカオスな状態の中からキラッと光る才能がスターダムに躍り出てくるのでしょう。

世界には本当に美味しいビールがあって、今自分自身が認識しているビールの範疇を軽く飛び越えていくものが山ほどあります。クラフトビールはクロスオーバーな存在で、ボーダレス。日本という味の分かる人が多い魅力的なマーケットにアメリカやベルギーをはじめとする列強が押し寄せてきているわけですから、やはりちゃんと考えなくてはいけないのではないかと思います。近年のインポーターは本当に優秀で、多額の輸入コストがかかるにもかかわらず国産クラフトビールとさほど変わらない価格で出してきています。下手すると品質は圧倒的に上なのに大分値段が安かったりすることもありますよね。ちゃんと美味しいものがビックリするほどは高くない値段で大量に流通してきている現状は消費者にとっては選択肢が多いという意味で幸せですが、ブルワリーにとっては国内だけでなく世界中と戦わねばならないという非常に苦しい環境です。多少高くても構わないと思うのですが、ちゃんと美味しいものをコンスタントに提供できないと生き延びることは出来ないでしょう。そういう意味でCRAFT DRINKSは来年2019年は淘汰の一年になると予想していますし、それまでの流れを注視していこうと思っています。