ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ⑥清潔なグラス

数年前とは全く様相が異なり、クラフトビールという存在が大分認知されてきたと思います。大都市のみならず、今後ますます多くの人に知られていくでしょう。その時、単にケグを仕入れて提供すれば良いのではなく、「飲み手の感動体験につながる良い状態で提供すること」が重要になってくることでしょう。美味しく提供する為にすべきことについてBAがヒントを10個挙げていますので、一つずつ見ていきたいと思います。

前回までの内容は以下です。こちらも是非お目通しください。

ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ
ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ①温度
ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ②ビールホース
ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ③ケグの賞味期限
ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ④適切なガス
ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ⑤正しい組み合わせ、グラス選び

今日は7つ目の「清潔なグラス」について。上記リンクから原文を引用し、ざっくりとですが訳をつけておきます。

7. Cleanliness of Glassware
Beer-clean: No soil, no oil. Free of visible soil and marks; free of foam-killing residue and lingering aromatics from sanitizer. Never refill a used glass. This is not sanitary.
グラスの清潔さ
汚れや油分はあってはなりません。目に見える汚れや跡は無いようにしましょう。泡を殺してしまう洗い残しや洗浄剤の芳香成分が残らないようにしましょう。一度使ったグラスにまた注いではいけません。衛生的ではありません。

まぁ、当たり前のことばかりなのですが、改めて考えてみましょう。注目したいのは「泡を殺してしまう」という表現です。

まず大事なこととしては汚れと油分をきちんと落とすこと。ビールの泡はホップの成分によって持ちが良く、すぐに消えません。しかし、グラスに洗い残しの油分や洗剤があると泡持ちが悪くなります。狙った泡が保持出来ませんから、美味しさに影響します。ちなみに、汚れがあるとそこを起点に泡がどんどん生まれてしまいます。必要以上の泡が欲しくないビールでこうなってしまっては困ります。

グラスを洗浄したら伏せて水を切りましょう。トーションなどで拭き上げると繊維が付着するので、拭かずに自然乾燥させると良いと言われます。前述の汚れ同様、付着した繊維が不要な泡を呼ぶ原因になるので注意してください。拭く場合は、注ぐ直前にリンサーにかけたり、一度水に潜らせるなどしましょう。

さて、先程から「必要以上の泡」とか「狙った泡」などと書いてきました。CRAFT DRINKSは泡をとても重要なファクターとして認識していて、それをコントロールすることが非常に大事だと考えています。グラスの不備で泡をコントロール出来なくなってしまってはせっかくの美味しいビールが台無しですからね。

ビールが最高の状態であるという前提ですが、理想的な状態から逆算してどのようなセッティングをし、どのように注ぐのかを決定すべきだと思います。全ては美味しいビールとそれを愉しむ方の為です。ですから、理想的な状態を実現させる為には不確定要素を減らすためにも常に清潔なグラスであるようにした方が良いです。お店毎に環境は違うと思いますが、ルーティンとしてオペレーションを決めてしまい、常時清潔なグラスで提供できるようにしましょう。泡を制する為にも清潔なグラスで常に提供できるようにしたいものです。

その為にもグラス用のスポンジやトーションをご用意頂くのが宜しいかと思います。詳しくは下記に書きましたので、御覧ください。

家飲み品質向上計画① スポンジ編
家飲み品質向上計画④ グラス拭き編