ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ⑤正しい組み合わせ、グラス選び

数年前とは全く様相が異なり、クラフトビールという存在が大分認知されてきたと思います。大都市のみならず、今後ますます多くの人に知られていくでしょう。その時、単にケグを仕入れて提供すれば良いのではなく、「飲み手の感動体験につながる良い状態で提供すること」が重要になってくることでしょう。美味しく提供する為にすべきことについてBAがヒントを10個挙げていますので、一つずつ見ていきたいと思います。

前回までの内容は以下です。こちらも是非お目通しください。

ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ
ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ①温度
ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ②ビールホース
ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ③ケグの賞味期限
ドラフトビールを最高の状態で出す10のコツ④適切なガス

今日は5つ目の「正しい組み合わせ」について。上記リンクから原文を引用し、ざっくりとですが訳をつけておきます。

5. Ensure Accurate Keg to Handle
Coupling the right keg to the right line should go without saying, but misconnections happen, so we’re saying it!
正しくケグを取扱いましょう
正しいケグを正しいホースに繋ぐことは言うまでもなく重要ですが、間違ってしまったら。。。

これは読んだ通りだと思いますので、特にコメントはありません。次に行きましょう。

6つ目の「グラス選び」について。

6. Selection of Glassware: Enhance and Complete the Experience
Kill the shaker pint glass? Certainly an argument to be made:
・Contributes to perception of beer as low-grade, commodity beverage.
・No technical benefits to enhance customer experience and often is too large of a serving size for higher alcohol beers.
Instead, choose glassware appropriate for style; size and shape should both be considered for optimal service.
グラス選び〜体験を増幅し、完璧なものに〜
シェイカーパイントグラスをまだ使っているのですか?恐らく議論のポイントはこちらです。
・低品質でコモディティな飲み物としてビールを認識する助けになってしまうこと
・顧客の感動体験を増幅することに対して技術的な面でメリットが無く、高アルコールビールをしばしば多めに注いでしまうこと
その代わりに、スタイルに合わせて適切なグラスを選びましょう。最適なサービスの為にサイズ、形状の両方を考慮する必要があります。

ここでいう「シェイカーパイントグラス」とは下記のこと。よくパイントグラスと言われているもので、足のないタンブラーです。重ねて置くことも出来ますし、厚手で丈夫なのでなかなか割れません。安くいつでも手に入るので様々な場所で見かけるド定番のグラスですね。

引用部分で指摘されているように、何でもシェイカーパイントグラスというのはもう古いですし、思考停止状態ではないでしょうか。缶や瓶でクラフトビールがたくさん出回るようになってきたので家飲みとは違う体験が外食産業において求められると思います。となれば、「なぜそのグラスを選ぶのか?」という理由が無くてはならないと考えています。(ベルギービールによくある専用グラスも個人的にはやや否定的です。情緒的には嬉しいのですが、性能の面から必然性に乏しい場合が多いからです。)

craftbeer.comの”BEERS STYLE”という大変分かりやすく解説してあるページがあります。色や度数、IBUなどを挙げ、それぞれのスタイルについて簡潔に述べており、そこに推奨グラスも掲載されています。たとえばAMERICAN IPAの項目を見てみましょう。シェイカーパイントグラスではなく、チューリップ型のものを推奨していますね。パイントグラスを勧めているのはアイリッシュとイングリッシュスタイルのもの、およびコーヒービールやカリフォルニアコモンなどとなっています。IPAだからといってパイントグラスというのはすでにBAもオススメしていないようです。これは個人的な想像ですが、アロマティックなIPAが増え、全体の評価においてビタネスよりも香味にウェイトがシフトしてきたのではなかろうか、と。

まずはBAに倣ってオススメのグラスを使ってみてはいかがでしょうか?パイントグラスでは引き出せなかった部分が見えてくると思います。そして、次に「敢えてパイントグラスで飲んでみる」ことも試してみてください。今度はパイントグラスで強調される部分が浮かんでくるでしょう。加えて、一つの銘柄を様々なグラスで試し、グラスの形状や厚みなどでどのように感覚が変化するかを感じるとますます面白くなるのではないかと思います。

以前、「家飲み品質向上計画」と題して7本書きました。その中に「番外編 ⑦ 実際に使っているグラス」というものがあります。リンク先では5種類を挙げていますが、現在はそれにテクグラスと小さめのスニフターを加えた7種類がメインです。私もまだまだ勉強中の身ですが、勉強が楽しくて止まりません。