酸っぱいビールが気になる方は、まずここから
サワーエールと言われる、酸っぱいビールが世界中で人気です。本当にすごい勢いでファンを増やしていて、人気の銘柄はリリースした瞬間になくなるほどです。日本でも少しずつ認知され始めていて、やっと時代が追いついてきたのだなぁと感慨深くなります。先日、「酸っぱいビール専門のお店」という投稿ではミッケラーがデンマークに酸っぱいビール専門バーをオープンしたことを書きました。こちらも合わせてご覧ください。酸っぱいビール専門店が出来るほど、世界は酸味に取り憑かれています。
ただ、CRAFT BEERは英語圏のもの、特にアメリカのものとして始まっていて、外国語の情報ばかりです。日本語で読めるものが本当に少ない。サワーエールの話になると更に少ない。全然無いのです。これは大問題。CRAFTDRINKSとしてはマット師匠にもお許しを頂いたので、少しずつ皆様に有益な情報をご紹介してまいりたいと思います。
でも、その前に。
素晴らしい日本語の本があるのです。ランビックを体系的、そして詳細に解説している日本語の本「ランビック―ベルギーの自然発酵ビール」、これは何が何でも読んでください。サワーエールを考える際、避けては通れない「ランビック」というベルギー特有の自然発酵ビールを知るには最高の一冊です。こんなにまとまった書籍はありません。著者の山本氏がご自身でランビックの醸造所を訪問し、現地で撮影された貴重な写真も多数掲載されています。ランビック自体の歴史や各醸造所の遍歴、そしてランビックのテイストや特徴を極めて詳細にまとめていらっしゃいます。とにかく、素晴らしい。圧巻です。本当に日本語の文献が少ないので、サワーエールに興味を持った方はまずここから始めてください。
ランビック [ 山本高之 ] |
貴重な資料としての価値もものすごく高いのですが、私が嬉しかったのは山本氏がベルギー在住の日本人醸造家・今井礼欧さんの生み出した柚子ランビックや梅ランビックなどにも触れていらっしゃることです。私の友人でもある今井さんのランビックは現在世界中で人気を博していますが、ブレイク前にすでに今井さんのものを取り上げていらっしゃったこと、日本人ならではのアプローチをいち早く評価されていること、そして同じ日本人として応援したい気持ちが行間に溢れていること、その全てが心に刺さってきます。
世界一のビアパブに行ってきました!(うちのめされた編)と世界一のビアパブに行ってきました!(類は友を呼ぶ編)という投稿でIn de Verzekering tegen de Grote Dorstというお店に行ってきた話を書きました。実はそこには書いていないエピソードがありまして。
地元の方々が少しずつ引き上げて行き、営業時間をオーバーしてしまった頃、一緒に飲んでいた方たちと「じゃ、そろそろ行きますか」となりました。席を立って、入り口の扉に向かおうとした時にお店のご主人からこう言われました。
日本から来たんだってね。ミスターヤマモトは知っているか?うちのお店に彼の本があるんだよ。
もちろん!お目にかかったこともありますし、彼の本は私のバイブルです。日本語であんなに良い本はありませんから。
「そうか、そうか。」と嬉しそうに頷き、私たちを見送ってくれました。一分も無い短い時間のことでしたが、なんだかこう、自分のことを褒めてもらったような気がして、少し誇らしくなるのでした。