世界一のビアパブに行ってきました!(類は友を呼ぶ編)

「世界一のビアパブに行ってきました!(うちのめされた編)」と題してベルギーにある世界一ランビックの揃っているIn de Verzekering tegen de Grote Dorstに行ってきたお話を書きました。今回はそこでの出来事について。

類は友を呼ぶ。これは万国共通です。そして、酒飲みあるあるなのですが、お酒の席で気が合うと「まぁ、飲みなよ。俺のおごりだ。」というノリになるわけで。これも世界中どこであっても変わらない。人種や言葉の違いなど関係なく、お酒をこよなく愛する人たちはそれだけで素敵。

満席の店内で私は奥のカウンターに通されました。そこでとりあえず一杯飲んでぼんやりと周りを眺め、ランビックを飲みながら「あぁ、落ち着く。酸味が体に染み渡るなぁ。」としみじみ思ったのでした。お客さんは地元の方が多いようなのですが、端の方から英語が聞こえてきます。見ると、北米の方らしき人がちらほら。何人かで飲んでいるグループの一人と目が合うと向こうから話しかけてきました。

「日本から来たよ」と言うと、彼も上手な日本語で返してくれました。あれ?と思ったら、米軍時代に日本にいたことがあるそうで。今はアメリカにいるけれど、酸っぱいビールが好きすぎてわざわざベルギーまで飲みに来たらしい。ここの次はローデンバッハ醸造所に行くと言っていました。バカだねぇ、他人のことは言えないけれど(笑)とりあえず、”Cheers”一回目。

すると、別の方も話に入ってきました。とっても体の大きな方でちょっとビックリしたけれど。彼も日本語が少しできる方で、日本人の私にはとてもフレンドリーに接してくれました。聞くと「醸造所で働いているんだ」と言う。

「どこの醸造所ですか?」
oxbowっていうところ」
「ごめん、分からないや。どんなもの作っているの?」
「セゾンとか、樽熟成もするし、酸っぱいのは大好きだ」
「ここに来ているくらいだからね(笑)僕も大好き。」

ひとしきりアメリカのサワーエール人気について話を聞かせてもらいました。彼は予定があって先に出ると言うので、”Cheers”二回目。出会った記念にoxbow breweryのステッカーもくれました。モノクロのフクロウがとてもかっこいい。今は愛用のギターに貼ってあります。

oxbow

最初の方の連れだと思っていたご夫婦も実はここで初めて会った人だそうで。やっぱりカナダからランビックを飲みに来たらしい。その場のノリで一緒に飲むことになり、”Cheers”三回目。

「色々飲んでみたいし、シェアでいこうか?」と誰が言うとも無く話はまとまり、みんなでメニューを見ながら、
「じゃ、僕がこれを頼もう」
「んー、じゃ、こっちは俺が。」
「スカルベークは僕が頼むね」
経験豊かなサワーエールファンが集まったおかげで、大宴会となってしまいました。結局私を含めて4人でランビックの大瓶を6本+ミードなどなど。”Cheers”計測不能。乾杯しすぎて昼間からベロベロですが、それはもう楽しいひとときとなりました。

類は友を呼ぶとはよく言ったもので、出会った全員「重度のサワーヘッズ」。しかし、「一流酒飲み」でもありました。ビアスタイルやオフフレーバーの話など一切出てきません。決して排他的ではない。中途半端なオタク度合いを通り抜けると人間は優しく、寛容になるのかもしれません。未知なる味覚の世界に飛び込むこと自体を自然体で楽しんでいるのです。本当に素敵な大人ばかりで美味しい酸味を心の底から愛しているのがひしひしと伝わってきます。サワーエールに限った話ではないけれど、「質の高いものがちゃんと出てくる場所」で「美味しく楽しく」「仲間と一緒に」飲むことが一番なのですね。それを知ることが出来ただけでも良い経験です。ランビックが繋いでくれたこの出会いに感謝。