酸っぱいビール専門のお店

デンマークのミッケラーのブログでものすごい発表がありました。なんと、来月酸っぱいビール専門店をオープンするそうです!いやぁ、遂にここまで来ましたね。これはすごいことです。エポックメイキングな何かになるのではないかと思います。

内容は非常に淡々と書かれています。彼らが経営するボトルショップ(酒屋さんですね)にスペースがあるので、そこに酸っぱいビール専門のバーを作ります、ということ。特にランビックにフォーカスしているそうです。今までサワーエールを一部取り扱っているお店はたくさんありますが、専門店というのは画期的です。ミッケラーの新しいお店には自分たちで作っているスポンタンシリーズの他、ランビックのドリーフォンティネンやジラルダンもあるそうです。本文はデンマーク語なので、googleやbingで是非翻訳して読んでみてください。

日本ではまだまだ馴染みがありませんが、現在世界中で酸っぱいビール、つまりサワーエールがものすごい勢いで流行っています。ホップヘッズならぬ、サワーヘッズというスラングが普通に通じるくらい、ビールファンの間ではブームです。苦味の次は酸味がキーワードで間違いないでしょう。(ちなみに、私も酸っぱいビールが大好きです。)

大手のピルスナータイプのビールが世界中で消費されていて、ビールといえば私たちはそういうものをまず思い浮かべます。こういうビールは劣化したり、ばい菌に汚染されたりすると酸味が出て不快な味わいになります。ビールにおいて酸味はNGだという認識がまだまだ根強いのです。しかし、美味しい酸味にフォーカスしたビールが世界には存在し、積極的にその酸味を評価する流れが生まれてかなりの盛り上がりを見せています。私が先ほど「画期的」と言ったのは「酸味をNGとする今までの認識から脱却し、専門店を開店できるほどビールの酸味に対して肯定的な受け止め方が消費者の間に広まってきている証拠」だからです。この変化は正に革命。

とはいえ。
「ビール」という観点から見ると「画期的」ではあるのですが、「お酒の酸味」という点で考えると特別新しいことでもありません。たとえば、素晴らしいワインや日本酒(生酛、山廃が特にそうですね)においては美味しい酸味が必ず伴います。逆に言えば、良い酸が無いワインや日本酒は全然美味しくない。酸味は毛嫌いすべきものではなくて、お酒にとって必要不可欠な要素の一つなのです。ビールにもそういう認識が少しずつ広まってきています。「ビール」ではなく、「麦でつくったおいしいもの」くらいにゆるく捉えて上げる方がクロスオーバーな存在であるクラフトビールを楽しめるのではないかと私は思います。