3週連続イベント参加のお知らせと新刊「文脈とビール3」のご紹介(チラ見せあり)

突然昔の本がバズったりそのおかげで新刊が思った仕上がりにならなかったりとバタバタしていたわけですが、やっとまとまった時間が取れるようになり、お陰様で先日新刊「文脈とビール3」も入稿出来ました。

こちらを引っ提げて10月29日のイベントを皮切りに3週連続でイベントに参加します。

10/29 12:00 – 16:00 第2回秋葉原「超」同人祭+ @秋葉原 UDX GALLERY
委託販売でお世話になっているメロンブックスさん主催のイベントで、入場に事前購入のチケット(700円)が必要です。詳細はイベント公式サイトにてご確認ください。

11/3 11:00 – 16:00 おもしろ同人誌バザール神保町 @ベルサール神保町・ベルサール神保町アネックス
クラフトビールをはじめとするニッチなお酒のことばかり書いている私にとっては福音となった、長らくお世話になっている「情報系」特化型イベントです。入場時にパンフレット代として1000円かかります。詳細はイベント公式サイトチラシでご確認ください。

11/11 12:00 – 16:00 文学フリマ東京37 @東京流通センター 第一展示場・第二展示場
文字ばかりの私の本も浮かないテキスト系の祭典、文学フリマ(通称文フリ)。「自らが《文学》と信じるもの」を自らの手で販売する文学作品展示即売会で、来場者が1万人を超える、人気のイベントです。 入場無料・事前予約不要。出店者カタログはこちら

お時間ございましたらいらしてください。近くなりましたら出店番号等をSNS(Xinstagramfacebook)を通じてお知らせ致します。

さて、新刊の「文脈とビール3」は既出の3篇に加えて書き下ろし7篇を合わせた計10篇の本です。下記目次をご覧ください。これまで特定のビールを飲んで考えたこと、感じたことを綴って参りましたが、ビヨンドビールという存在も現れたのでビールではないものから得られたビールに関する話も入れました。8番目の「価格・品質・私的な思い入れ」がそれに当たります。

目 次
文脈とビールを今一度考える 1
1.国産Punk IPA誕生 2
2.外のストーリー、内のストーリー 3
3.シルバーさん 6
4.安心感と違和感、その境目 8
5.West Coast IPAという謎 10
6.「せっかくだから」の遠さ 13
7.こんな質問ができたら 14
8.価格・品質・私的な思い入れ 16
9.たらればの話なのだけれど、あの時違っていたら 18
10.フレッシュさにまつわる矛盾 20

来週のイベントを前に1本公開したいと思います。暇つぶしがてらお読み頂ければ幸いです。こちらの新刊をCRAFT DRINKSの本屋にもアップしました。ご予約承ります。

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フレッシュさにまつわる矛盾

先に断っておきますが、当該ビールを批判しているのではありません。単に分かりやすい例として挙げただけであって、それ以上でもそれ以下でもありません。その点はご承知おきください。

アメリカのStone Brewingは鮮度にこだわり、賞味期限が僅か37日間のIPAであるEnjoy Byシリーズを定期的にリリースしています。輸入元が空輸で手配していて、ここ日本でもリリースしてから1週間から10日ほどで飲むことが出来ます。

世界の物流網はすごいなぁといつも思う一方で、少しだけ気になっている事がありました。一週間は確かに早いけれど、リリースからもっと短時間で飲めるものはたくさんあるのに何故これを評価するのだろうか。

考えてみれば当然なのですが、日本のブルワリーなら充填したその日に出荷も可能だし、うまくいけばリリース後24時間以内に店頭に並べることも、なんなら飲むことも出来ます。フレッシュさ、時間の短さだけを取り上げれば国産の方が圧倒的に有利なのは間違いありません。日本における国内物流のスピード感を前提に考えると空輸であっても外国から持って来るのでは遅いのは当然なのです。

ここで考えてみたいのは空輸より早くてフレッシュなのにEnojy Byの方が何故それを武器に出来ているのかです。

国内ブルワリーがフレッシュであることをそこまでアナウンスしていない可能性も否定できませんが、私が感じているのは、意識的か無意識的かは一旦置いておいて、アメリカ礼賛の思想が根底にありそうだということです。その補助線を引くことで強い意味を飲み手が感じているのではないかと思うのです。

飲み手が勝手に作り上げたクラフトビール像があって、ホップの効いたIPAはフレッシュな方が美味しいという或る種の刷り込みを補強する意味でEnjoy Byはマーケティングにおける成功を収めたと考えます。実際、かっちり仕上がっているのであれば早いほうがホップの風味を楽しむことが出来、その意味でこの考え方は正しいと思うのですが、やはり舶来物として本場アメリカからやってきたということが下駄を履かせているようにも感じます。

品質として同程度のものが日本国内で作れるのであればフレッシュさで確実に勝る国産品を評価すべきなのは自然なことのはずです。現状そうではないということは何かしらのバイアスがかかっていると考えるべきでしょう。フレッシュさにまつわる矛盾を私たちは違和感なく受け入れていることについて議論することは一定の価値があると思います。きっとその議論は私たちのクラフトビールに関する観念の一部を明らかにしてくれるはずです。