想いを馳せる

May 6, 2019

CRAFT DRINKSが全力で応援しているブルワリーが静岡県掛川にあります。Kakegawa Farm Brewingと醸造家・西中明日翔氏のことは別途書いたことがあるのでここでは詳しく触れませんが、是非一度お目通し頂きたい。きっとこれからの日本のクラフトビールシーンにおける最重要人物の1人になると信じてやまないのです。

Kakegawa Farm Brewingと醸造家・西中明日翔

CRAFT DRINKS BARREL AGE PROJECT も今回西中氏にご協力頂くことになり、先日東京・両国の麦酒倶楽部ポパイにて開催されたBarrel Aged Beer Maniaという樽熟成ビールにフォーカスしたイベントにてバレルエイジベルジャンクアッドをプレリリース致しました。樽熟成期間が少し短かったとはいえ、ベースのクアドルプルがしっかりと出来ているので若いながらもキラリと光るものがあり、そこからの伸びしろを大きく感じさせる仕上がりでした。もうしばらく熟成させ、かっちり仕上がったところで改めて皆様にご紹介したいと思います。リリースの際はCRAFT DRINKS SHOPのメールマガジンにてご案内差し上げますのでご興味のある飲食店の方はご登録くださいませ。

さて、CRAFT DRINKSは「Kakegawa Farm Brewingと醸造家・西中明日翔」でこう書きました。

クラフトビールが人気を博しておりますが、メインは間違いなくアメリカンスタイルで、特にホッピーなものが評価されています。しかし、実は今アメリカのビアギークもブルワーもこぞってベルギービールを飲んでいるのです。ホップではなく、モルト・イーストによる複雑さや熟成という概念、酸の旨味などこれからビールの進むべき道が幾つも示されているからなのだと考えています。その意味でKakegawa Farm Brewingと醸造家・西中 明日翔は現代の日本において貴重な存在です。クラフトビールの多様性を体現してくれるだろうと応援しています。

ベルギーのクラシックなビールは今の日本ではあまり人気があるとは言えません。しかし、長い時間を経てもなお消えずに支持されているクラシックなスタイルについて今一度目を向けてみることは、今自分たちがいる場所がそこからどれほど進んできたのかを確認するためにも必要な作業ではなかろうかと思うのです。

平成が終わり、令和へと時代は変わりました。今20代の方の中には初めて飲んだビールがIPAだったという方もきっといるでしょう。一回り以上違う私からすると本当に時代は変わったのだなぁと感じるわけですが、スタート地点がどこであれ現在進行系で進化し続けるビール、そしてビールを取り巻く環境の通奏低音としてこれまでの歴史や思想を知ると単なる麦の醸造酒がきっと違って見えるはずです。

とはいえ、醸造設備も良くなっていますし、技術も進化しています。原料となる麦やホップも品種改良され、前提条件がすでに大きく変わっています。かつてのものと全く同じものは恐らく作れません。今を生きるブルワーの解釈もその液体の表現に多分に含まれます。残念ながら昔のままのものはもう飲むことは出来ない。でも、だからこそ、「昔のことは分からないんじゃん、じゃぁ、意味ないよ」と考えるのではなく、「これが今ならば、昔はどういう感じだったんだろう」と想いを馳せる方が素敵だと思います。ちょっとロマンチック過ぎるかもしれないけれど。

来週、kakegawa farm brewingからSORA-IRO Saisonというシンプルにおいしいことを目指したセゾンがリリースされます。余計なものは一切加えず麦芽とホップ、イーストの良さを前面に出したものです。イースト由来のミカンやオレンジのような香りとモルトの甘く香ばしい香りがあり、味はモルト由来の甘く香ばしい味、そしてホップのピリッとした苦味。そのすべてのバランスが取れた、何杯でも飲みたくなるビールです。kakegawa farm brewingのフィルターを通して表現された「シンプルにおいしいこと」、そして今現在のセゾンに対する解釈が感じられるのではないかと思います。見かけたら是非試してみてください。

そして、たとえばkakegawa farm brewingの現在進行系を感じた上で機会があったらデュポンやシリーなどベルギーのセゾンも試してみてください。アメリカのものも良いと思います。「セゾン」という概念が醸造家によってどれだけ違うのか、どういうプロセスを踏むとここにたどり着くのか。そんなことに想いを馳せるときっとビールはもっと面白くなるんじゃないだろうか。そんな気がしてなりません。

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