タップマルシェとその意図 2 2017/1/27追記あり

前回に引き続き、新しい動き「タップマルシェ」について考えます。前回のものを前提に論を進めて参りますので、まだ読んでいらっしゃらない方はこちらからどうぞ。

タップマルシェとその意図 1

予想通り、2017年はクラフトビールの転換点になりそうです。先日出たこちらのプレスリリースをご覧になった方も多いのではないでしょうか。衝撃的な発表です。

「Tap Marché(タップ・マルシェ)」を地域限定で展開

前回、ポイントを以下のように抜き出しました。

  • 小型容器(ペットボトル、容量3L)
    専用ディスペンサーを開発
    2017年4月をめどに、1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の飲食店にて展開
    2017年に1,000店での取り扱いを目指す
    展開ブランドはスプリングバレーブルワリー・グランドキリン・ヤッホーブルーイング・ブルックリン・ブルワリー

今日は小型容器について。上記リンク先に写真がありますが、茶色いペットボトルのようです。劣化に繋がる光を防ぐために茶色なのでしょう。ワンウェイ(使い捨て)とは書いていないのですが、そこはどうなのでしょうか・・・

気になるのは3Lという容量。USパイントなら約6杯分。サーバーには4種接続出来るので、最大USパイント約24杯分。席数、来店客数にも依りますが、ものすごく少ない印象です。そもそもキリンでは7Lの樽がスタンダードで存在します。それを敢えて3Lにしたということはこういうことが理由ではないかと予想します。

  • 100席を超えるような、いわゆる大箱の全国チェーンに導入提案をするのではなく、席数の少ない個人店やドミナント展開をする飲食企業がターゲット
    「ど定番1銘柄」を押すより「少量多品種」が時代のニーズ

現在の飲食店はフロアを広めに取るために設計上キッチンやドリンクメイクのスペースを狭くしていることが多く、サーバー付近に4樽も置けるスペースが取れません。営業中に取り替えることも考慮して最低でも倍の樽を保有しておく必要があると考えるとますます現実的ではありません。狭い空間で少量多品種を実現するためのパッケージの開発だと考えて良いと思います。「自前でサーバーを探して購入するほどでもないけれど、クラフトビールは流行っていると聞くし興味はあるので、まずは小さく始めたいなぁ」というような街場のお店にとっては渡りに船。ニーズの掘り起こしはできるはずです。

提供されるビールがそもそもクラフトビールなのか?というCRAFTY問題などについては一旦置いておきます。ここでは便宜上クラフトビールと呼んでおきますが、それらを普及させるのに「大きな組織の大きな箱」で「マスに向けたプロモーション活動や施策」ではいけないと考えているのではないでしょうか。個店の力が無視できないということでもあります。マクロでなく、ミクロなムーブメントの集合がシーンを支えていることに他ならないわけです。

ちなみに、CRAFT DRINKSが独自に収集した情報によると、酒販店に帳合は付くけれども商品自体は冷蔵で直送とのこと。もし本当にそうだとしたら、これはとてつもなく大きな変化です。

2017/1/27追記
上記取り消し線の部分について訂正致します。情報が錯綜して大変申し訳ありません。直送なのですが、常温流通だそうです。