「クラフトビールの今とこれからを真面目に考える本 改」リリースのお礼とこれからのこと
先日ご案内した「クラフトビールの今とこれからを真面目に考える本 改」が印刷所より届き、ご予約分については全て発送致しました。
印刷所から届きました。「#クラフトビール の今とこれからを真面目に考える本 改」の発送作業を頑張ります。ご予約頂いた皆様には週明けに届くと思いますので、今暫くお待ちください。 pic.twitter.com/lrS9XOJIWK
— CRAFT DRINKS / ヲキトシヒコ 🍺冬コミ申込済。10月 文フリ、おもバザetc📕 (@craft_drinks) September 8, 2023
ご注文くださいました皆様、誠にありがとうございます。総文字数13万字の大盛り、いや、特盛になってしまいましたが、気合を入れて改定致しました。ご拝読賜りますようお願い申し上げます。
さて、改定版を出すにあたって考えたことを少々綴っておきたいと思います。
2019年の夏、ひょんなことからコミックマーケットに出ることになり、大学院でお話したことを中心にそれまでに書いてきたものをまとめて本にしたのでした。今ほど明確でもなく、粗いのは否めませんが、読み返すと今に続く視点や問題意識が詰まっていたと強く感じます。この本は一冊を通してクラフトビールの様々な側面に触れていて、総論、概論のようなイメージがあります。その後発表していくものはこれをベースに各論を掘り下げる作業に没頭していました。4年かけて様々な各論に取り組み、それを踏まえてもう一度セルフアンソロジーのような形で「クラフトビールの諸相」という総論を編んだ、という流れです。あぁ、いつの間にか一周回ったなぁ、、、と思うわけなのです。
改定に際し、最新データへの提示は勿論、論点に合わせて追記も必要でした。これに加えて、最初期の総論には以後執筆する各論のエッセンスがたくさん包含されているので脚注に該当するトピックが含まれる本も示してあります。たとえば「日本らしさ」や「国内クラフトブルワリーの数え方」などについてです。
このことを受けて今回CRAFT DRINKSの本屋の内容を少し変更しました。一覧性を与えると言う意味で、本を新しいものから発表順に並べて変えています。在庫も無くなり今のところ再販予定の無いものも掲載しておりますが、概論、総まとめという位置付けの本に対する各論として対応するものに関しては資料として参照できるよう順次Kindle化したいと考えております。基本的にKindle Unlimitedに対応しており、会員の方は無料でお読み頂けますのでご利用くださいませ。Kindleの著者ページはこちちらからどうぞ。
取り急ぎ、「日本らしさ」について論じている「ビールとまなざし」をKindle化しました。他のものも順次アップし、審査が通った段階で皆様にご報告申し上げます。これらについてもお読み頂ければ幸いです。
最後に改訂版に追加したあとがきをここに転載したいと思います。私の書いたものを評価して頂くことは非常に嬉しいと思いつつも、そこで満足して停滞していてはいけないと思ったのでした。大晦日に開催される冬のコミックマーケットに当選したらこれまでとは全く異なるアプローチの新企画の本も出したいと考えています。
改訂版あとがき 2023年になって思うこと
初版を直すにあたって改めて読み返してみると、拙いながらもそこに染み出している問題意識は質的に今とそれほど変わらないことに気が付きました。まだビヨンドビールという言葉が無い頃から「クラフトビールはクロスオーバーだ」と言い続けていましたし、我ながら割りと筋の良い視点を持っていたような気がします。とはいえ、クラフトビールについてよくもこれだけの文量を書けたものだと呆れてもいますが。
その後は各論に取り組み、気が付けば4年で通算17作発表していました。この間シーンも変わりましたが、私自身の意識も変化してきていて、これまでとは異なる方法を採るべきではないかとここ数ヶ月は特に強く感じています。Twitterで本書が発掘されて多くの方の目に触れたことは非常に嬉しいものの、私個人としては過去のものとしてドライに考え、次を見据えていかねばならないような気がしてなりません。
2022年末に出した「クラフトビールの諸相」でも少々触れましたが、1994年からの歴史を総括することを含め、これまでを整理して地ビールからクラフトビールへと変化ないしは進化してきた姿を描き出し、今に繋げる作業をする必要があるのではないかと思うようになりました。かつての地ビールを知る方を取材してオーラルヒストリーを集めることも一つの方法で、新たにそういった方針でクラフトビールというものに迫ってみようと考えています。
また、地ビールではなくクラフトビールしか知らない若い世代の方にもたくさんお話を伺いたいと思っています。前提の異なる方であれば同じものを鑑賞しても感じ方が違うはずで、それを「イマ・ココ」の記録として残しておくことは意義があるように思います。これに加えて、クラフトビールがクロスオーバーだからこそお酒を広く文化の一端と捉えて、音楽や絵画、文芸など他のジャンルに携わる方々にも一杯やりながらお話を伺ってみたいです。
なんにせよ「会って乾杯して話す」というごくありふれた当たり前のことを行うだけなのですが、ビールに向き合おうとすると案外忘れがちな態度です。「オレvsビール」という分析的で一方向からの視線しか無い構図から逃れ、今一度基本に立ち返ってみなくてはならないと思うに至ります。その意味では本書のようなスタンスでの記述はしばらくお休みするかもしれません。その代わり、頒布会にもっと積極的に参加します。そして、より多くの方と会って話が出来るように、勉強会と言いますか、本来の意味でのサークル活動もしたいと思っています。具体化した際にはSNSでお声掛けしますので是非乾杯致しましょう。皆様にお目にかかるのを愉しみにしております。
長々書き連ねた酒屋の戯言を読んで頂き、誠にありがとうございます。深く感謝申し上げます。本書が皆様のクラフトビールライフ向上に少しでも貢献できたら著者としてこの上ない幸せです。
リアルな集まり、本当にやりたいです。諸々決まったらお声掛けしますので是非。皆様と乾杯出来るのを心待ちにしております。