8月12日、Brewdog Barにドラフトサケがオンタップ! +チラ見せ

ギリギリの告知で大変恐縮ですが、決定したのでご案内。

三連休の最終日の8月12日、なんとBrewdog Bar Roppongiにてドラフトサケがオンタップします!先日の麦酒倶楽部ポパイに続き、Brewdogでも・・・本当に有り難いことです。シーンのトップランナーの皆様に興味を持って頂けたことは本当に嬉しい。関係各所にお礼申し上げます。

さて、「ビアパブで日本酒」ってどう思いますか?変な感じがしますか?「うーん、こう、なんだか、微妙な・・・」と思う方も大勢いらっしゃると思います。けれども、逆に「地酒居酒屋でクラフトビール」はどうでしょう?もうすでにそこそこあると思うのです。日本の麹がビールを変えるかでもご紹介したように日本酒の手法をビールが取り入れることもあります。クラフトビールはクロスオーバーな存在です。隣接する領域のメソッドを貪欲に取り入れながら自ら進化し続けていて、日本酒の文脈で捉えられるビールもある。そういうアプローチがあるのならば、逆の立場からのアプローチとして「ビアパブで日本酒」もあって良いのだとCRAFT DRINKSは考えます。「ビールの文脈で解釈する日本酒」もあって良いわけです。

先日、東京・両国の麦酒倶楽部ポパイでもお話したことですが、「ビアパブで日本酒」というの組み合わせによって感じられる不思議な感覚は実はとても大事です。日曜日に私どもはコミックマーケットに参加しますが、そこで頒布する「クラフトビールの今とこれからを真面目に考える本」の第4章でデペイズマン(Dépaysement)という概念について少し触れています。シュルレアリスムの文脈で使われる概念で日常生活においては全く役に立たないものだとは思いますが、こういう感覚って実はすごく大事じゃないかと最近つとに思うのです。それによって自分の中に新しい何かを発見するかもしれません。視点がズレることで景色が変わるかもしれないし、解像度が上がるかもしれない。当該部分を以下に引用しますので、是非お目通しください。

2 ドラフトサケを通じて表現したいこと

CRAFT DRINKS、ウェアハウス・ジャパン、三芳菊酒造の3社でドラフトサケを開発しました。私たちが変えたいのは日本酒のイメージです。

日本酒はおじさん臭いというか、居酒屋でそれなりの年齢の男性が飲むようなイメージがあるかもしれません。筆で書かれた漢字のラベルはおしゃれな感じもしませんし、どこか古臭い。実際は決してそんなことはないのですが、そういう変なイメージが広く浸透しているようにも思われます。日本酒の消費量はずっと減り続けていて酒蔵も減少し続けています。かの有名なワイン評論家のロバート・パーカー氏がワインの視点で日本酒を評価したことがありました。その時高評価だったものは世界的にも一気に評判が高まり、国内ではいきなり買えなくなってしまうほどでした。日本人が國酒である日本酒を正しくそして高く評価出来ず、外国からの評価で自国の文化を見直すというのはちょっと残念ですが、それをきっかけにして日本酒に日常的に親しむようになるのならそれはそれでとても嬉しい。

ワインが日本に定着したのは価格が下がったことや洋風の食事が広まったことも一つの理由でしょうが、なにはともあれ美味しかったからというのが大事なポイントだと思います。そして、その定着後の広がりは「ワイン×焼き鳥」、「ワイン×餃子」など、様々な料理との合わせ方を開発し新たな業態の飲食店を生みだしています。

美味しい日本酒はちゃんと存在します。きっと日本酒に足りないのは触れるきっかけと文脈なのです。美味しいと思えるかどうかはそのお酒自身の絶対値が高さに依るところも大きいですが、それを楽しめる文脈に乗っていないといけません。しっくりこない文脈による人とお酒のミスマッチが多すぎるのです。

CRAFT DRINKS はビアパブで日本酒を飲んでみて欲しいと考えています。ベルリナーヴァイセやゴーゼをはじめとする乳酸系のサワーエールが世界では人気ですが、三芳菊のお酒には「米で作ったサワーエール」、「米で作ったサワーファームハウスIPA」とでも解釈すべき要素が多分に含まれています。三芳菊のお酒はしっかりした酒質に強い乳酸とトロピカルなアロマを持ち他の日本酒と全く共通項のない独特なものです。だからこそ、旧来の日本酒ファンには毛嫌いされることもありますが、ビールファンには抵抗なく楽しんで頂ける文脈があると感じています。そう確信が持てる稀有なお酒なのです。ドラフトサケはビアパブ、ビアバーでの提供に合うように加炭酸することで甘みを相殺しキリッとした姿に仕上げています。これをどう感じるかは人それぞれではありますが、「ビアパブ×日本酒」という新しい切り口を面白がり、楽しんで頂けたらこの上ない幸せです。

デペイズマン(Dépaysement)という概念があります。「人を異なった生活環境に置くこと」、転じて「居心地の悪さ、違和感;生活環境の変化、気分転換」を意味するフランス語で、美術の世界ではあるものを本来あるコンテクストから別の場所へ移し、異和を生じさせるシュルレアリスムの方法を指します。ロートレアモンの「マルドロールの歌』という詩に登場する「ミシンと蝙蝠傘との解剖台の上での偶然の出会い」という一節が有名です。ものすごく端折って言えば、有り得ない場所に有り得ないものがあることを発見した時の純粋に落ち着かない感覚、となるでしょうか。アメリカンカルチャーの影響が極めて強いクラフトビールとビアパブという存在に、純和風な日本酒が同居する空間を作ってみたいと私は思ったのでした。クラフトビールと日本酒、それぞれ全く違う文脈のものを交差させ、その「どこかしっくりこないような気がする感じ」からまた更に新しい文脈を作る実験をしたかったとも言えます。ビールと言う概念を自ら破壊し続けるビールが日本酒によってまた概念を拡張するかもしれないし、それが日本発の世界に向けたメッセージになるかもしれない。違和感を克服した先にある世界はどんな景色なのだろう。ドラフトサケは可能性を秘めていると感じています。

ちょっと大袈裟に書いている感じもしますが、まぁ、うっすらこんなことも考えながらやっています。美味しくて面白い方が楽しいから、そういうことに一生懸命なのです。ドラフトサケBatch2は無茶苦茶旨いのでとにもかくにもまず一度お試し頂きたいと思います。そして、その感想を是非聞かせてください。17時にはBrewdog Barに私も伺いますので、グラスを傾けながら皆様と色々なお話をさせて頂きたいと思っています。

イベントの詳細はBrewdog Bar Roppongiの公式facebookからイベントをご覧ください。

あ、忘れてました。11日のコミックマーケットもよろしくお願い致します。CRAFT DRINKSは西え-45bです。皆様のお越しをお待ちしております!