ポートランドブルワリー体験記 Widmer Brothers
ポートランドブルワリー体験記はまだまだ続きます!順番は違いますが、今回はWidmer Brothersをご紹介。
Widmer Brothers(ウィドマーブラザーズ)はRed Hookなどを持っているCBA(Craft Brew Allianceの略)傘下のビール会社の1つです。CBAにはアンハイザー・ブッシュ・インベブが一定以上出資しているのでCBA傘下のブルワリーもBAの定義に沿って言うと厳密にはクラフトブルワリーではありません。とはいえ、非常に販売量も多く、有名な会社。CRAFT DRINKSとしては定義よりも実際に美味しいのかどうかを重要視しているので、前回の10 barrel berwing同様どういう立ち位置でどのようなものを作っているのかを知りたくてお邪魔しました。
外観を撮影するのを忘れてしまいましたが、レンガで組まれた非常に古い作りの建物。趣があります。中はきれいにリノベーションされていて、レトロでありながら清潔感漂う空間。
お店の中央にタップとカウンター。instagramだと見づらいのですが、24種類がドラフトで提供されていました。16番がThing 1というhazy IPAで、”Can I have a sip of 16th?”とサーバーに言うと”Sure!”と言って小さなグラスでテイスティングさせてくれました。Widmer BrothersでもNEIPA作っていたんですね。ちなみに、味わいについてはノーコメントでお願いします。
Widmer brothersくらい大きな会社になると輸出もたくさんしているので、幾つかは日本でも飲めます。とはいえ、初訪問なのでまずは色々飲もうとメニューを開くとフライトがラインナップ別に4種類も。これもアメリカらしいなぁと思うのですが、グルテンフリービールのオミッションもオンメニューしていました。
ということで、オーダーしたのはコアシリーズのフライト。Hefeweizenと書いてありますが、飲んだ印象としてはドイツスタイルのヴァイツェンではなくてホッピーなアメリカンウィートだと思います。でも、これは美味しかった。
醸造設備がガラス越しに見えます。奥がどこまであるのかよく見えませんが・・・ちなみに、左の黒板にある”Crowler”(クラウラーと読みます)はグラウラーの仲間で、「持ち帰り用の即席缶ビール」のこと。ケグからそのまま缶に詰めて蓋をし、その場で缶ビールにしてくれます。
せっかくだから思いっきりアメリカンなものが食べたくて、マカロニチーズをオーダー。ちゃんとスモークしたベーコンとたまねぎがしっかり入っていて風味豊か。
Widmer Brothersのビールはどれもクリーンで軽快。ビアギーク向けのいかついフレーバーのものはありませんでしたが、どれも親しみやすさがあります。日常に溶け込んだビールという意味ではとても上質で、いやらしさがないのは非常に好印象。Widmer Brothersはちょっとだけ背伸びした、でも無理していないイイ感じの都会的なビールでした。
そこで思うのです。クラフトビールを楽しむということは自分自身が今何を求めているのか?という内なる声にどれだけ耳を傾けることが出来るかにかかっているような気がします。クラフトビールとはビールそのものではなくて、ビールと自分との関わり合い方という側面が絶対にあると思う。逆に言えば、自分自身が確立していないとアグレッシブでパワフルなクラフトビールに飲み込まれてしまう。それくらいクラフトビールが魅力的なのですが、自ら選び取るという事をしない限り対等にはならないようにも思うのです。主体的であるということはクラフト的な何かの前提になるのだろう、とポートランドでグラスを傾けながら思ったのでした。