配送パンク問題とビールのこと
皆様御存知の通り、最近配送業者の話をニュースでよく目にするようになりました。ネット通販が急激に伸び、荷物の量が純粋に増えたこと、再配達が増えて業務コストが上がっていること、そしてそれに対応するだけの人員を確保できていないという点などが指摘されています。
某大手配送会社が荷物を蹴り上げている動画がニュースで大々的に報じられたことは記憶に新しいと思います。不在票入れて何度も訪問したのにいなかったのかもしれません。さばかなくてはならない量の多さに嫌気が差したのではないかと予想します。してはならないことではありますが、その気持も分からなくはありません。
そんな流れで、日経にこんな記事が出ました。現状を打開するには最早これしか方法がないのかもしれません。まだ「検討」であって「確定」ではないのですが、こういう方向で動いていく可能性は高い。
ところで、ビールはものすごく通販に向かない商品です。他のお酒に比べて単価が安く、傷みやすい。そして、重たくて嵩張る。瓶であれば破損リスクもあります。非常に通販とは相性が悪いのです。一本の単価が高ければ「まとめて買うと送料無料」にすることも難しくないのかもしれませんが、基本的にワインやウイスキー並の価格のものはありません。また、熱や光にも弱くてすぐ劣化しますし、値段の割に重いので送料が相対的に高くつきます。
ネット通販で安く買えるビールは諸経費を大幅に削減していると考えられます。「劣化させないインフラを構築しつつ低価格を実現している」のであれば最高なのですが、なかなかそうはいかないようです。低価格の実現を企業努力と表現する方もいらっしゃるでしょうが、過去の経験上激安商品で抜群に美味しかったことはありません。手を抜いて欲しくない部分を省き、かけるべきコストまでも削減しているのだとその味わいから想像します。多少高くても構わないから美味しい方がいいなぁ、と一人の飲み手として思うのですが。
物流事情が厳しくなる中、ついにこんな発表が日本酒の蔵元から出てきました。
少し引用します。
表題の件につきまして、弊社が現在利用しております日本郵便のゆうパックより、4月1日より送料値上げの通達がありました。一般便の送料が、いちばん多い一升瓶6本入・四合瓶12本入につきまして関西131%、関東・九州161%、東北122%、チルド便に至っては264%の値上げとなっています。また今まで重量にかかわらず一律だったものが、重量が重くなるに従い料金が上乗せられています。
まだ確定ではないと続く部分にありますが、一定程度の送料値上げになることは必至でしょう。これも昨今の状況を考慮すると致し方ないのかもしれません。これは当然全国の蔵元、ブルワリー、ワイナリー、そして通販業者も同じで近々にこのような発表があるかと思います。
ビール類に関する酒税が変更されますが実際のところは送料等々の値上げで相殺されてしまい、もしかしたら店頭価格は酒税変更後も同じもしくは今まで以上ということも考えられなくないのです。CRAFT DRINKSはとにもかくにも美味しいことを第一に考えているので品質保持にはそれ相応にコストをかけてもらいたいです。そのコスト負担は正当な要求として喜んで引き受けます。その分、ぶっちぎりで美味しいものを醸して頂ければ良いのではないでしょうか。
以前、税と値上げについてこんなことも書きました。宜しければお目通し下さい。