クラフト偽装で訴えられた話
クラフトってなんだろう?と考えさせられることがありましたので、一つご紹介。様々なメディアでこのことが報じられていますが、とりあえずpaste magazineを挙げることにします。
Wal-Mart is Being Sued For its Fake Craft Beer Brand
英文なので要点をまとめておくとこうなります。まぁ、分からなくもないけれど、ね・・・
- 1 walmartが訴えられた
2 理由は「クラフトビールで無いものをクラフトビールと偽り不当に高い値段で販売したから」
3 ビールを作ったのはTrouble Brewingという会社となっているが、これは架空のもので、実のところはGenesee Brewing。
4 Genesee BrewingはNorth American Breweries傘下の会社で、BAの定義からすると”CRAFT”ではない
以前ここで書いたCRAFTYに関するお話を読んで頂くと分かりやすいと思いますので、一度お目通しください。ちなみに、Genesee Brewingにはratebeerでoverallたったの1点という評価のビールがあったりします。実際に飲んだことがないので何とも言えませんが、きっとCRAFTYの煽りを受けてしまったのだろうなぁ・・・と。
訴えた側の理屈は分からなくもないです。「うんうん、まぁ、そうだね」と思うのですが、やはり少し疑問が残ります。「美味くてもまずくてもCRAFTなら良かったのか?」ということです。CRAFT DRINKSは高品質で、飲んで美味しいことがとにもかくにも一番大事だと考えています。その意味でCRAFTであるかどうかはさほど重要ではありません。(もちろん、適切に醸され、適切に流通したCRAFTの方が美味しくて楽しいことが経験上多いのですが。)美味しいことで不幸せになる人はいませんから、それが何であろうが正義だと信じているのです。
さて、BAの定義は裁判において有効でないという判例があります。“craft beer”とは何だろう 連邦裁判所の見解とその衝撃を是非お目通しください。ビールはビールであり、今のところ国家はそこに介入してこないようなので今回この訴えがどうなるのか気になります。日本ではまだ「クラフトビール」の定義がはっきりと確立されていないのでこういう話にはならないと思われるのですが、バズワードとしての「クラフト」が少しずつ独り歩きしている気がしています。遅かれ早かれ何かがあるようにも思います。
まぁ、CRAFTという概念が飲みたかったのでしょうね、この訴えた人は。でもそれはどこかの仕掛け人に洗脳されて出来上がった幻想かもしれない。クラフトってなんだろう?