国産バレルエイジサワーエール
先日、大江戸ビール祭りに参加致しました。多くの方にお立ち寄り頂き、本当に嬉しかったです。またこのような機会があれば是非参加したいです。皆様、今後共どうぞよろしくお願い致します。
さて、こちらの記事でこう書きました。
5日間現場にいて色々なことを感じました。良い部分も、悪い部分も。自分自身の今後の課題や、シーンの歪みなどなど。これらについては少し時間を置き冷静に振り返ってみたいと思います。
今回は良かったと思うことについて。
写真は常陸野ネストビールさんで提供されていた、ニッポニアのバレルエイジバージョンです。バーボンバレル熟成と赤ワインカスク熟成を順番に出されていて、私は後者を飲みました。塩気のない梅干しのような風味と酸味で、フィニッシュにはしっかりと樽のニュアンスがついています。醸造所は「サワーエール」と謳っていなかったようですが、間違いなくサワーでした。外国からの輸入ビールでバレルエイジサワーエールは最近増えてきましたが、国産ではなかなか出会う機会がありません。そういう意味でも、貴重なビールを試すことが出来、とても嬉しく思います。
なかなか出会う機会はないかもしれませんが、どこかで見かけたら是非試して感じて頂きたいビールだと思います。私が今回強調したいのは、国産でちゃんとしたバレルエイジサワーエールが出てきたということ自体を嬉しく思っていると言うことです。マーケット、もしくは消費者、特に今回の場合であればビール祭りにいらっしゃるお客様の間できっとバレルエイジサワーエールは伝わるだろうとネストさんは判断したのでしょうし、事実私はそれを試すことが出来て嬉しかったです。少しずつではありますが、日本のクラフトビールシーンでも「バレル」や「サワー」というキーワードが認知されてきたという証拠でもあるように思われます。作り手のみならず、飲み手である消費者の意識の変化が垣間見れるわけです。
シーンの移り変わりは早いなぁ・・・と、ふと思います。つい数年前まで国産バレルエイジサワーエールなんて夢にも思いませんでした。そもそもバレルエイジ自体が全然無かったですし、サワーエールなんて誰も見向きもしていなかったような気がします。ここ日本も世界的な流れに大きく影響を受けながら、少しずつ、しかし確実に変わっていくのでしょう。
ちなみに、私は「ちょいバレル」が好きです。原料や発酵では出せない、バレルの風味を「ちょろっと、でも確実に」つけるくらいの感じ、と言えば良いでしょうか。要素が一つ増えつつも調和があると一段階上のレベルになるような気がするです。例えばシングルモルトウイスキーもそうですが、ピートが効き過ぎて他を圧倒しているよりも一要素として厚みを与える程度に乗っているものが個人的には良いと考えています。
例えばクラフトビールにおいてバレルやサワーが日本でも珍しくなくなった時、「中庸」や「統一感」、「バランス」というキーワードに移行するのかどうかを私はこれからも注意深く見守っていきたいと思っています。