Xデー
Xデーが近いです。遂に超巨大ビール会社が生まれようとしています。
“SABMiller and AB InBev wait with bated breath for £79bn megabrew deal ahead of SAB shareholder votes on Wednesday”という見出しのついた記事が出ました。インベヴがミラーを買収するにあたっての株主総会が行われています。株主がこれを支持して通過するといよいよです。
恐らくこれからこの最新情報は色々な方面で語られるでしょうから、それについては続報を待つことにします。CRAFT DRINKSとしては別の角度から考えてみたいと思います。
インベヴの社長カルロス ブリトー氏はかつてとあるインタビューでこう語っています。
The mega brewer has begun to tap into the craft beer strategy internationally, too, acquiring craft breweries in countries such as the U.K., Mexico, Canada, Colombia and Brazil. “So now the next question is what about consumers, the global consumers? Will they consider a national or international or global craft?” Brito said. “We think the answer is yes.”
巨大ビール会社はクラフトビール戦略を世界中に展開しようとしており、イギリス、メキシコ、カナダ、ブラジルなどの各国でクラフトブルワリーを買収しています。「では、次の質問ですが、世界中にいる消費者に関してはどうお考えですか?ナショナルクラフト、インターナショナルクラフト、もしくはグローバルクラフトと認識するでしょうか?」ブリトー氏は「その答えはイエスだと我々は考えています。」
何年か前に日本の大手ビール会社が「ナショナルクラフト」とか言っていましたが、インベヴは一味違いますね。流石は世界最大。グローバルクラフトですよ、グローバル。誰かガツンと突っ込んで欲しいです。
以前、“craft beer”と”クラフトビール” nationalとlocalという投稿でこう書きました。
そもそも、ナショナルブランド(national brand、通称NB)は全国津々浦々に商品を出せる大きさの会社です。文字通り、ナショナル。NBなのですから、どこかにだけ肩入れするわけにはいきません。
それと対になるのはローカル(local)であり、地元密着もしくはその土地に根ざしたものとなるでしょう。地元とそのコミュニティに関わり、地酒ならぬ地ビールを展開してきたのが現在のクラフトブルワリーと呼ばれる人たちです。「ナショナル」と「ローカル」は相容れない対立する概念だと私は考えます。
インベヴは「グローバルクラフト」を実現出来ると考えているわけですが、果たしてそれはクラフトなのだろうか?難しい問題です。キリンが日本国内で作ったブルックリンラガーはどうなのだろう?とか、最近クラフトのクラフトたる所以のようなものが強く揺らいでいるように感じます。
買収を進めている大手はクラフトブルワリーをそのまま残して展開しています。傘下の会社だけれども、今まで通り独立しているような立ち位置。高品質なおいしいビールがその状態を維持しながら大手のインフラに乗って広く行き渡っていくのであえば素晴らしいと思います。しかし・・・(これに関わる”crafty問題”についてはこちらも参考にして下さい。)
クラフトって何なのでしょうか?多くの方と早急に議論すべき命題ではないかと思います。