リンゴの醸造酒 CAMRAの場合①

Jul 28, 2016

三ツ矢じゃないサイダーの話と題してリンゴや洋なしの醸造酒であるサイダーやペリーのことをご紹介致しました。今回はもう少し詳しく見ていきたいと思います。

前回記述した通り、サイダーやペリーの人気が落ちてきたのをうけて、イギリスの消費者団体CAMRAは自身の団体の中にサイダー・ペリーに関する部署を設置したり、品評会で部門を作ったりしています。また、2003年から10月をサイダー・ペリー月間に制定してキャンペーンを打つなど地道に頑張っています。

CAMRAはリアルエールで有名な団体ですが、サイダー、ペリーに関しても「真っ当なもの」を評価しようと言っています。応援すべきサイダー、ペリーとそうでないものがCAMRAとしてはあるということなのです。彼らの評価基準がどうなっているのか引用しますのでご確認ください。

Definition of Real Draught Cider & Perry: (リアルドラフトサイダー、ペリーの定義)

Ingredients(原料)
The liquid content before fermentation must consist entirely of non-pasteurized apple (cider), or pear (perry) juice
発酵には非加熱のリンゴや洋なしのジュースを用いなければならない
No apple or pear juice concentrates to be used.
濃縮ジュースは使ってはならない
Normally, only the sugar naturally available in the fruit should be used to cause fermentation, but in years when the level of natural sugar in the fruit is low, the addition of extraneous sugar to aid fermentation is acceptable.
通常、果実自体が持っている糖分で発酵すべきであるが、果実に糖分が少ない年であれば発酵を補助する為の糖分の使用は許される。

Process(醸造工程)
No pasteurization to take place during the production process.
醸造工程中で低温殺菌しない
No added colourings to be used.
着色料を使わない
No added flavourings to be used, except pure fruits, vegetables, honey, hops, herbs and spices, yet no concentrates, cordials or essences.
濃縮品やエッセンスではいけないが、果物、野菜、蜂蜜、ホップ、ハーブ、スパイスは使用可能。その他は風味付けに一切使用してはならない
There must be no artificial carbonation for draught products.
ドラフトの製品では人工カーボネーションさせてはならない(ナチュラルカーボネーションのみ、と考えれば良い)
Sweetener may be added to fully fermented Cider/Perry to make it sweet or medium.
完全に発酵したサイダー、ペリーをスイート、ミディアムにするべく甘味料を使用してもよい
The addition of water is permitted to bring the alcoholic content of the Cider/Perry down to the level required by the producer. Ideally, however the minimum juice content should not be lower than 90% volume.
度数調整の為、加水しても良い。
No micro filtration allowed (this takes all the yeast, leaving a “dead” product).
マイクロフィルター処理は禁止。

なるほど・・・基本的には「取れたままの果物をそのまま醸造すべきであり、人工的に何かを加えるのはダメ」という方向性が見て取れます。アメリカなどとは全然捉え方が違うような気がします。良いか悪いかは別として、CAMRAとしてはこういうスタンスでいるようです。

 

・・・ん?普通はガスを接触させて抽出するのがケグだから、「リアルサイダーのケグ詰め」は無理じゃない?

こう思われた方、鋭いです!!続く部分にこうありますので、見てみましょう。

What Is Keg Cider?(ケグ詰めサイダーとは?)
It is artificially carbonated, pasteurised, served under gas pressure. Most of today’s keg cider is made from apple concentrate rather than real apples, some of which can be imported from almost anywhere. Keg cider is usually filtered and may also contain any of a long list of additives and colourings as defined permissible under Section 162 produced by HM Customs & Excise Department.
人工的にガスを溶け込ませ、加熱処理をし、抽出にはガスの圧力を用いるもの。今日出回っているもののほとんどは本物のリンゴを使用しておらず、濃縮品で出来ています。それも、どこか別の国から輸入されたリンゴです。ケグ詰めサイダーは通常フィルター処理されており、法律で許可されている添加物や着色料がずらっと記載されているものもあります。

これはダメな例で、通常出回っているものはCAMRAから言わせると「リアルではない」ということになります。厳しく見ればケグ詰めサイダーはパブのカスクでしか存在せず、輸出は不可能なのかもしれません。しかし、2015年にこのような見解が発表されています。

The conference also heard that the key keg/cask system gave venues more flexibility to serve real ale in circumstances where cask conditioned beer would be impossible – such as sports grounds, bars and restaurants.
キーケグシステムがあればカスクコンディションビールの提供が不可能であろうと思われる環境、例えばスポーツの会場、バーやレストランであってもフレキシブルに対応することが出来る、という意見が会議で聞かれた。

Tim said: “CAMRA’s technical experts agreed several years ago that beers served from key keg/cask under certain circumstances qualified as real ale – and in fact have been served at several CAMRA beer festivals for some time. This decision is a reminder that CAMRA is open to new developments and keen to take opportunities to promote real ale in all its forms, especially in ways which make it more accessible to pubs that might not be able to look after traditional cask conditioned ale.”
ティム氏いわく、「カムラの技術担当者は数年前に一定の環境であればキーケグでリアルエールが提供可能だとしています。実際にカムラのビール祭りで何度か提供されています。カムラは発展・進化に対して閉鎖的ではなく、どんな形であれリアルエールを広めていく機会を増やしていこうと考えています。特に伝統的なカスクコンディションビールを取り扱うことが出来ないパブがより扱いやすいようになるのであれば、なおさらです。」

CRAFT DRINKSでも強烈に押しているキーケグであれば、ガスの接触がなく、溶けこみもありません。カスクではなくてもリアルサイダーが可能となりました。この点は全然知られていないと思いますので、是非知っておいて下さい。

続く

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