伸びているのは何か?③

前回の伸びているのは何か?②では以下の点を見ていきました。

①ビール全体は微減
②クラフトビールカテゴリーは大きく伸びている

「大手ビール会社 VS クラフトビール」という視点から見ると、前者がまだまだ優勢です。しかし、まだ13%ですが、クラフトビールの伸びが尋常ではありません。ぐいぐい来ています。大手がクラフトブルワリーをどんどん買収しているのも、この勢いに脅威を感じているからかもしれません。BAが提唱している「2020年までにシェア20%」というのも夢ではないように思います。

さて、今回は「クラフトビールカテゴリーの中」について考えていきます。こちらのページのproductionの部分を御覧ください。このセグメントに対応してクラフトビールカテゴリーを4つに分けています。

①Regional(緑、年間15000〜6000000バレル以下、外販中心)→1760KL〜
②Microbrewery(紺、年間15000バレル以下、外販中心)→〜1760KL
③Brewpubs(黄土色、自社消費中心)
④Contract(茶色、委託醸造)

Regional breweryが大きいのは一目瞭然です。これはどういうことでしょうか?こちらのグラフから醸造所の数を示した表を引用し、軒数と生産量を見ていきます。

U.S. Brewery Count

2012 2013 2014 2015 ’14 to ’15 % Change
CRAFT 2,401 2,863 3,676 4225  + 18.1
Regional Craft Breweries 97 119 135 178  + 31.9
Microbreweries 1,149 1,464 2,041 2,397  + 21.6
Brewpubs 1,155 1,280 1,500 1,650  + 12.2

2015年の実績で178軒、生産量が約1900万バレル。Microbreweryが2397軒で約390万バレルですから、その大きさがよく分かります。上記の表と生産量を照らしあわせてみると、こうなります。

2012 97軒、生産量が約1024万バレル
2013 119軒、生産量が約1200万バレル
2014 135軒、生産量が約1750万バレル
2015 178軒、生産量が約1900万バレル

大きな醸造所がどんどん増え、3年で81軒増加。すごいです。BA会員向け資料を見たことがあるのですが、トップ30くらいの醸造所の生産量とその伸び方が半端ではありません。元々大きなところが設備増強を繰り返し販売力を強化、その結果更に大きくなっています。販売額、生産量からもブームはクラフトカテゴリーの中でもRegional、特にその上位が牽引していると言って間違いないでしょう。

しかし、「〜2014」と「2014〜」で大きく違いがあります。間違いなく成長しているのですが、グラフの角度が明らかに下がりました。軒数の増加ほど生産が伸びていないのです。CRAFT BREWING BUSINESSが指摘するように、クラフトカテゴリーの中の大手の伸びが鈍化していて2016年は更に鈍化するのではないかとの意見があります。Ad Ageでも同様で、Top 50 U.S. Craft Brewing Companiesの上位に出てくる大手クラフトブルワリーの名前を具体的に挙げています。

鈍化しているとはいえ、プラス成長していますから「クラフトビールカテゴリー」自体はまだまだ伸びていきます。その牽引役が誰になるのかが少しずつ変わっていくだけでしょう。ここは注目していたいと思います。続く。