大人向けルートビアは要チェックかも

一昨年あたりから地味に注目していたものが去年から実際にちょっと盛り上がってきたようなのでご紹介。先に断っておきますが、たぶん今の日本では流行りません。全然ウケないと思います。もし誰かが輸入しても完全に空振りで終わるでしょう。しかし、これが置かれている文脈は非常に大事だと思います。

Root Beer(ルートビア)と呼ばれている飲み物がありますが、ご存知でしょうか?普通はこういうものを思い浮かべるでしょう。沖縄にはA&Wのお店がありますから、ご存じの方も結構いらっしゃるのではないかと思います。

rootbeerandbyrger

元々ルートビアはネイティブ・アメリカンの方たちがサッサフラスという植物などを入れて作っていたもので、薬として飲まれていたそうです。その当時は自家醸造して作った低アルコールのものだったらしいのですが、禁酒法時代を経て、ルートビアとはビアと書いてあるけれどビールではなくノンアルコールの炭酸飲料として認識されることになります。ハンバーガーショップではお馴染みのアレです。「これぞアメリカ」な飲み物の一つですが、日本ではそれほど普及していない気がします。身の回りになかなか無いからこそ、見つけるとつい飲みたくなってしまいます。あの独特の風味は一度飲んだら忘れられないものですからね。液体湿布みたいな、あの風味は。

一昨年あたりから少しずつ”Hard Root Beer”(ハードルートビア)という言葉を聞くようになりました。こちらは炭酸飲料ではなく、ちゃんとアルコールの入ったお酒です。評価の高い有名な市販品としてはNot Your Father’s Root Beerを挙げておきましょう。スタンダードは5.9%、強いものだと10%超えもあるそうです!なんだかすごそうですね・・・現在、こちらのスタンダード商品はアメリカ国内で大きく展開するPabst Brewingと提携して流通しています。広く出回っていて50州のうち38州で手に入ります。ケグはイリノイ州限定とのこと・・・残念!!

さて、なぜCRAFTDRINKSがハードルートビアに注目しているかと言うと、Best Damnという銘柄が出たからです。こちらは世界最大のビール会社アンハイザーブッシュインベヴの製品で、バニラビーンズの入った5.5%のもの。インベヴのマーケティング能力は半端ではないですから、彼らがルートビアに進出してきたということはこのカテゴリーは将来的に芽が出そうだということでもあるでしょう。きっとそういう試算結果が出ているのだと思います。ちなみに、bonappetitの記事によると、古き良きアメリカへ回帰する流れとクラフトビールの流行、その両方がルートビアへの注目につながっているとしています。炭酸飲料としてのルートビアには親近感があるので、ハードルートビアはクラフトビールを全く飲んだことが無かった層にも希求するアイテムになるだろうと書いています。なるほどね。

ratebeerというサイトではお酒としてのルートビアを”Spice/Herb/Vegetable”というカテゴリーに分類し、今調べたところ、”root beer”と名の付くものが既に74種類インデックスされています。”Spice/Herb/Vegetable”のビールは「モルト・ホップ・酵母・水」以外にスパイス・ハーブ・野菜を使ったもので、組み合わせは無限大。多くの可能性を秘めていて、このカテゴリーは今後注目すべきです。既に面白いものがたくさんありますが、これからもっと増えるのではないでしょうか。IPAの次については色々と言われていますが、”Spice/Herb/Vegetable”はその候補の一つであると思いますし、その発露としてのルートビアは要チェックだと思います。

ちなみに、Best DamnのHPではこういう飲み方を紹介しています“craft beer”の隣接領域のこと RTDについてでも書きましたが、クラフトビールシーンにおける一部のものはRTD(Ready To Drink)やRTS(Ready To Serve)ともかなり近づいてきたのかもしれません。近々FMB(Flavored Malt Beverage)についてもまとめたいと思います。