イギリスの醸造所数と雇用に関するデータ

カタカナのクラフトビールと言えばアメリカや国産のものをイメージすることが多いかもしれませんが、ビールに関する歴史が長いのは当然ヨーロッパ。しかし、そのデータはあまり日本語では見かけません。以前もご紹介したBoak & Baileyのブログにこんなタイトルのものを見つけました。少し古いものですが、非常に興味深いのでご紹介したいと思います。

UK Brewery Numbers and Employment

イギリスの醸造所数と雇用についてのお話です。リンク先で是非ご覧頂きたいのですが、1995年から2012年までの醸造所数とビール醸造に携わる人の数を表にしています。興味深いのは醸造所はかなり増えているけれど、従事する人は減っているという点です。本文を少し引用します。最初のthatは表のことを指しています。

That suggests that, though there are more breweries than there have been since before World War II, the number of people employed in the industry is shrinking. In fact, we can put a rough number on it: in 1995, there were approximately 41.2 employees per brewery (EPB); in 2012, that was down to 10.7.

なるほどなるほど。一軒あたりの雇用人数も随分減っているようですが、それで運営できるのでしょう。テクノロジーの進化もあるのだと思います。数字をまとめておきましょう。

  • 製麦を除く、ビール醸造に携わる人の数は減少傾向。1995年 19800人→2012年 13400人 (リンクの表から)
    醸造所の数は増加傾向。1995年 481軒→2012年 1252軒!!(リンクの表から)
    醸造所一軒あたりの雇用人数。1995年 41.2名→2012年 10.7名

恐らくどこの国のクラフトブルワリーも状況は似ているでしょう。小さい醸造所がどんどん増えていて、当然その雇用規模もそれぞれは小さいのだと思われます。イギリスも世界的なクラフトビールの流行を受けて、2012年以降も醸造所の数は増えているでしょう。今度新しいデータを探してまたご紹介したいと思います。

イギリスにはCAMRAやBBPAなどのビール関連の団体があって、そこが「税金」や「雇用」などについてデータを出しています。アメリカだとBeer InstituteやBAなどなど。ビールが生活に根ざしているからこそ、それに関する数字を統計的にまとめようとするのだと思います。
日本では国税庁がいくつかデータを出してインターネット上で公開しています。地ビール製造免許場(ビールを作る免許を持っている場所)の数が出ているので、ご興味ある方はこちらを御覧ください。今年の3月に出た最新版です。
2014年、2015年にクラフトビールがメディアにかなり露出し始め、全国各地で醸造所が開業したというイメージがあるのですが、国税庁のデータはまだ平成26年、つまり2014年までしか出ていません。その段階ではまだ思いの外ビール免許を持つ醸造所数が増えていませんでした。その間、発泡酒免許の醸造所が増えています。リンク先の数字を追うと、平成25年、つまり2013年がビール免許の醸造所数の底で、翌年の平成26年に増加に転じたのかもしれません。次のレポートではビール免許、発泡酒免許ともに数字がぐっと増えているのではないかと思います。発表が楽しみです。

上記のお話は日本の醸造所の数についてで、日本のクラフトビールに関する雇用状況を示すデータは今のところ私には見つかっていません。もしかしたらどこかにあるのでしょうか?ご存じの方がいらっしゃいましたら教えて下さい。