松の葉ビール

知らないことを知るというのはとても楽しいですね。先日初めて試した面白いビールのことをご紹介します。

先日伺ったFoodex Japanという見本市にこんなビールがありました。スコットランドのWilliam Brothers brewing Companyという会社のAlba Scots Pine Aleというもので、ホップではなく松の葉っぱを使用したものです。ブースの方が”No hop, Pine needles used in brewing”と言っていましたので、間違いないでしょう。ホップとは全く違う香りで非常に面白かったです。ラズベリーのような、白ソーセージのような、なんだかとても不思議な風味がしました。初めて飲んだので、これが100%松の葉由来の香りかどうかと問われると自信はないですが。

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IPAを例に出すまでもなく、ホップの特徴を出したビールがとても流行っています。ホップ独特の苦味や香りは非常に心地よく、私たちビールファンを虜にします。現代に生きる私たちが好む、現代的なビールと言って差し支え無いと思います。しかし、醸造家の中には古典的な、もしくは既に無くなってしまったスタイルを研究し、再評価・再解釈している人たちもいます。

実はこちらのビールはStyle Example(そのスタイルに当てはまるものの例)として、BeerAdvocateのScottish Gruit / Ancient Herbed Aleのカテゴリーに紹介されています。説明がありますので、見てみましょう。説明を引用します。

Scottish Gruit / Ancient Herbed Ale
Description:
This category recognizes the ancient ales. Beers of yore, the way beers were probably brewed throughout the Middle Ages in Continental Europe. Gruit is mainly a concoction of : sweet gale (Myrica gale), yarrow (Achillea millefolium), and wild rosemary (Ledum palustre). Other herbs, spices, and berries might be used to create interesting and pleasant aroma and flavor of green- and herbal-tea. These ancient ales may be highly intoxicating and aphrodisiacal when consumed in significant quantity. Historically, it has been said to stimulate the mind, create euphoria, and enhance sexual drive.

Other ancient style ales include those made with such ingredients like: heather, seaweed, pine, spruce, etc.

中世ヨーロッパで作られていたであろうビール、なのだそうです。ハーブやスパイス、ベリー類などが色々と使われ、陶酔、興奮を呼ぶ効果があったとか無かったとか。ある種宗教的な何かを感じる説明ですね。その当時、どんな人がどんな時に飲んでいたのでしょうか。非常に想像力を刺激します。余談ですが、海藻入りのものが個人的にものすごく気になります。

その当時の味わいを知ることはもう出来ないけれども、ハーブやスパイスを使った麦の醸造酒というものがかつて存在し、その古いスタイルが今醸造家たちの想像力を刺激しているという事実。これを知ることが出来て本当に良かったと思います。知らないことを知るというのは本当に楽しい。まだまだ勉強は続きます。